金属価格下落も2024年以降に好決算見通し、南米や豪州で操業正常化

現地コード 銘柄名
01208

五鉱資源

(エムエムジー)

株価 情報種類

2.86HKD
(7/26現在)

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 中国政府系の非鉄鉱山会社、五鉱資源の銅、亜鉛の生産量は2023年4-6月期に、それぞれ前四半期比35%増、63%増を記録した。南米ペルーのラスバンバス銅鉱山のフル稼働と豪デュガルド川亜鉛鉱山の操業再開が背景。また、現地の電力供給が不安定な中、同社はコンゴ民主共和国の硫化銅・コバルト鉱山、キンセビアの拡張を進めている。BOCIは金属価格に関する想定値の下方修正に伴い、同社の利益見通しを大きく減額しながらも、2024年から2年間の大幅な利益成長見通しを指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 現地住民による抗議活動などの障害が消えたことで、ラスバンバスは4-6月にフル稼働に戻り、銅生産量は前年同期比153%増、前四半期39%増の8万1,200トンに達した。これは2020年来の最高水準となる。また、デュガルド川は34日に及ぶ操業停止の後、3月後半に再開し、4-6月の亜鉛生産量は前四半期比75%増の3万6,500トン。この二つの要因が4-6月期の好決算を支える可能性が高い。

 キンセビア鉱山における銅生産量は4-6月期に前四半期比8%減。現地の不安定な電力供給に加え、コバルトプラントの設置に向けた計画的な操業停止が影響した。ただ、キンセビアの拡張プロジェクトは予定通り進行しており、年後半にはコバルト生産を開始するとみられる。

 BOCIは2023-25年の予想純利益をそれぞれ113%(赤字予想)、45%、9%減額修正した。自社の商品部門の予想とブルームバーグのコンセンサス予想をベースに、銅価格に関する向こう3年間の想定値を9%、9%、3%、亜鉛価格に関する想定値を18%、23%、5%引き下げたため。4-6月期の金属価格の軟化を受け、市場関係者が一斉に価格見通しの下方修正に動いた。

 ただ、2023年通期に小幅の純損失(1,800万米ドル)を見込む半面、2024年には2億4,400万米ドルの黒字に転じ、2025年には前年比79%の増益を達成するとの見方。ラスバンバスとキンセビアの拡張がけん引役となる見通しを示している。また、主要取引所での在庫が10年来の低水準で推移する中、銅価格もこの先上向くと予想。世界的なクリーンエネルギー(風力、太陽光発電やEVなど)へのシフトが銅需要を押し上げるとみる。このほか、中国の経済成長がこの先加速に転じれば、銅相場への支援材料になるとしている。

 BOCIはDCF(ディスカウントキャッシュフロー)をベースとする同社の1株当たりNAV(純資産価値)を4.28HKドルから3.77HKドルに下方修正。対NAVで10%のディスカウント水準を適用し、目標株価を引き下げた。株価の先行きに対しては強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、金属価格の予想以上の低迷や、ラスバンバス銅鉱山でのトラブルの再発などの可能性を挙げている。