2023年中間決算は相対的に堅調維持か、IT支出の萎縮が逆風に

現地コード 銘柄名
00268

金蝶国際軟件集団

(キンディー・インターナショナル・ソフト)

株価 情報種類

11.98HKD
(7/28現在)

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 企業向けクラウドサービスおよびERP(統合基幹業務パッケージ)の大手、金蝶国際ソフトの2023年6月中間決算においては、中国経済の低迷と企業のIT支出の萎縮が影響する見込み。BOCIは経営陣が掲げる野心的な通期ARR(年間経常収益)目標の達成はかなり厳しいと指摘しながらも、全般に堅調な決算内容を見込む。より長期の視点では、人事/財務/税務クラウドソフトウエアの分野で、同社が大手の座を維持すると予想し、懸念されるファーウェイ社の「MetaERP」との競合による影響も、大方の予想より軽微にとどまるとの見方。IT支出の不振を反映させる形で目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年中間期の予想売上高は前年同期比18%増の26億元。粗利益率は61%と、前期を2ポイント下回るとみる。また、純損益は2億8,500万元の赤字になると予想。これまでの2億1,400万元の赤字から下方修正した。企業の投資マインドの後退を受けたIT支出の減速を理由に、より慎重な想定値を適用したため。2023-25年の予想ARRを1%、3%、5%下方修正し、それぞれ31億元、42億元、57億元に設定している。

 BOCIは同社の2023年中間期および通期決算が、同業のソフトウエア銘柄より底堅く推移するとみる。力強い受注の伸びとサブスク契約への移行が背景。1-3月期の段階で、同社はARRの前年同期比37%の伸びや、新規の大型契約6件の獲得、「Cloud Cosmic(金蝶雲·蒼穹)」「Cloud Constellation(星瀚)」「Cloud Galaxy(星空)」などクラウドサービスの顧客定着率の改善などを明らかにした。同社が戦略的焦点とするのは、人事/財務/税務を含むコスト重視型のホリゾンタルSaaSアプリケーション(業種に関係なく特定業務に使われるSaaS)だが、BOCIは業況が下降局面にある状況下では、ホリゾンタル業務はバーティカルSaaS(特定業種向け)よりディフェンシブだと指摘している。

 一方、ファーウェイの「MetaERP」との潜在的な競争に対する警戒感から、金蝶国際ソフトの株価は年初から28%下落した。BOCIは市場の懸念に理解を示す半面、過剰反応との見解。「MetaERP」は今後も、機密性の高いインフラを運営する大手国有企業をターゲットにすると予想し、両社のパートナー関係は続くとみる。

 BOCIは国内のIT支出低迷を理由に2023-25年の予想売上高を2%、3%、3%減額修正し、採算化の予想を2026年へ1年先送り。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き下げた。クラウドサービス部門には2023年予想PSR(株価売上高倍率)10倍(12倍から下方修正)、企業向けソフト部門には予想PER(株価収益率)9倍を適用した。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、マクロ経済の不確実性に伴う企業のIT支出の減速、研究開発費の増大による利益の下押し、市場競争の激化、サブスク業務の定着率の後退などの可能性を挙げている。