2023年中間期に売上回復見通し、「FILA」の貢献で利益率も改善へ

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

82.95HKD
(7/20現在)

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 中国の有力スポーツ用品メーカー、安踏体育用品の2023年6月中間決算は、「FILA」ブランドに加え、「デサント」や韓国「KOLON(コーロン)」といったアウトドアブランドの貢献で、営業利益率が改善する見込み。BOCIは業界全体が逆風に直面する中、マルチブランド戦略を強力に推進する同社が抵抗力を発揮すると予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは2023年上期の売上高を前年同期比16%増の301億4,600万元と予想。旗艦ブランド「安踏(ANTA)」、伊「FILA」、その他ブランドが各8%、16.5%、73%の増収を確保するとみている(その他ブランドの内訳はデサントが60%超、コーロンが100%超の増収見通し)。うち「安踏」に関しては、小売販売額の1桁台半ばの伸びとDTC(消費者向け直接販売)戦略が8%の増収を支えるとの見方。コロナ後のリオープンを受けたオフラインの実店舗の売れ行き回復に加え、1-3月に前年割れしたオンライン販売も4-6月には1桁台半ばの伸びを確保したことが明らかになっている。一方、「FILA」の小売販売額は4-6月に10%台後半の伸びを達成し、1-3月の1桁台後半から加速。実店舗の復調と同時に、新興ECプラットフォームの寄与で、オンライン販売が1-3月に40%増、4-6月に60-65%増と、特に好調だった。その他ブランドの小売販売額は4-6月に70-75%増(デサントが60%強、コーロンが約100%の伸び)。1-3月の75-80%増(各70%増、100%超増)から小幅に減速している。

 BOCIは2023年上期に、粗利益率が前年同期比1.8ポイント改善し、売上高販管費率は0.1ポイント低下すると予想。「その他収益」の対売上高比率の1.2ポイント減をカバーし、営業利益率は0.7ポイント改善するとみている。「安踏」に関しては、粗利益率の0.2ポイントの上昇を背景に、営業利益率が22.1%へ0.1ポイント改善するとの見方。「FILA」は在庫評価損のはく落で、粗利益率が1.9ポイント上昇し、営業利益も24.5%へ2ポイント上向くとみる。販路在庫は安踏、FILAがそろって5カ月未満を維持しているという。また、その他ブランドの営業利益率は0.4ポイント上向く見込み。同社全体の純利益は23%増の44億1,700万元に上り、純利益率は14.7%へ0.9ポイント上昇すると予想している。

 BOCIは予想粗利益率を上方修正する半面、販管費に関する想定値を引き上げ、2023-25年の予想純利益を3%、6%、6%減額修正。従来通りに2023年予想PER(株価収益率)35倍をあてはめ、目標株価を3%引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 レーティング面の潜在的なリスク要因としては、「安踏」ブランドのDTC戦略が不成功に終わる可能性や、「FILA」ビジネスの後退、新規事業の進展の遅れ、中国経済と個人消費の弱さに起因するコロナ後の業績回復の遅れなどの可能性を挙げている。