今年購入できるのが最後となる一般NISA、インフルエンサー5人の銘柄や運用方針

 来年、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)制度が刷新されるため、現行の「一般NISA」と「つみたてNISA」、「ジュニアNISA」で、金融商品を購入できるのは今年が最後となります(2024年以降も非課税期間が終了するまでそのまま保有できます。ジュニアNISAで保有する金融商品は、5年間の非課税保有期間終了後、自動的に継続管理勘定に移管され、18歳になるまで非課税措置が受けられます)。

 その内、一般NISAで運用をしている人気の投資系インフルエンサー5人(エルさん、DAIBOUCHOUさん、ペリカンさん、まる子さん、よしぞうさん、五十音順)に口座の中身を見せてもらい、ポートフォリオの考え方や銘柄選びのコツを教えてもらいました。

米国株投資家エルさん、生活必需品銘柄で「負けない運用」

エルさんのプロフィール
 55歳、妻と子ども2人の4人家族。1991年ごろに日本株で株式投資を開始。2008年のリーマン・ショックで資産は半減するも2009年末に損失を取り戻す。2019年にセミリタイア。現在は米国株を中心に運用する。趣味は読書で、年間100~200冊読む。好きな音楽は1980年代の洋楽やジャズ。著書に『英語力・知識ゼロから始める! 【エル式】 米国株投資で1億円』。

ブログ:【L】米国株投資実践日記
ツイッター:エル 【L】米国株投資実践日記(@leveraged1

図:エルさんの総資産と一般NISA口座それぞれのポートフォリオ

※一般NISA口座の運用資産は、今年の非課税投資枠での運用だけではなく、これまでに非課税投資枠で買い付け、現在、売却せずに保有する資産

Q1:総資産のポートフォリオを教えてもらえますか? 

 外国株式64%、国内株式24%、国内外株式(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) )10%、外国債券1%、現預金1%

Q2:ご自身の資産の運用目的や配分の狙いは?

 一部インデックス投資も活用しながらも、個別株投資においては生活必需品セクターを多く保有するなどの工夫により「負けない資産運用」を心がけています。既に一定の資産を形成し、かつ、投資だけで十分生活が可能であるため、守りながら、そこそこ増えていけば問題なしとの考えです。

Q3:資産の内、一般NISA口座で運用する資産はどういった位置付けでしょうか?

 資産全体に占める割合はわずかであり、特に位置付けるほどのものでは正直ありませんが、非課税メリットを享受するため活用しています。

Q4:一般NISA口座でお持ちの資産の内訳は?

 外国株式(投信)75%、国内株式25%

Q5:一般NISA口座でどんな商品をお持ちですか?

 eMAXIS slim 米国株式(インデックス投資への投資拡大)、MonotaRO(モノタロウ、3064)(中長期保有に耐えうるグロース(成長)株式だから)

Q6:一般NISAで金融商品の購入をできるのは今年までです。非課税投資枠が残っている場合、ご自身のNISA口座の運用方針はどうしますか?

 年初の段階で、早々に使い切りました。

Q7:来年、現行のNISAが刷新されて、新しいNISA制度が始まります。資産の割り当てなど今の運用方針を変える考えはありますか?

 あくまで現時点の予定ですが、全額オール・カントリーに投資予定。初年度から既に特定口座で1,800万円購入済みの部分を毎年360万円ずつ恒久NISAにシフトする予定。

Q8:一般NISAをまだ始めていなかったり、投資枠が残っていたりする方にアドバイスをいただけますか?

 国として、かなりの大盤振る舞いで準備した優遇制度。最優先で使わないと損です。

不動産・超分散投資のDAIBOUCHOUさん、飲食・小売系など優待株の置き場所に

DAIBOUCHOUさんのプロフィール
 50歳。不動産投資と割安成長株の分散投資がスタイル。2000年に200万円を元手に個別株投資を始める。新興不動産株で利益を上げ、2004年に会社を退職、専業投資家に。2006年のライブドア・ショックや2008年のリーマン・ショックで資産の大幅な減少を経験。いったん資産を売却した後、底値が固い優待株から保有銘柄を増やし、割安成長株への超分散投資を取り入れる。現在、300銘柄以上を保有し、資産は数億円。趣味は外食、旅行。著書に『DAIBOUCHOU式 新・サイクル投資法』。

ツイッター:DAIBOUCHOU(@ DAIBOUCHO)

図:DAIBOUCHOUさんの総資産と一般NISA口座それぞれのポートフォリオ

Q1:総資産のポートフォリオを教えてもらえますか? 

 国内株式60%、現物不動産36%、外国債券3%、現預金1%

Q2:ご自身の資産の運用目的や配分の狙いは?

 賃貸用不動産や外国債券で生活費を賄い、相対的に投資成績が良い日本株投資に集中する。現金は最小限にする。

Q3:資産の内、一般NISA口座で運用する資産はどういった位置付けでしょうか?

 長期保有前提の株の置き場所です。昔はインデックスファンドやETF(上場投資信託)の置き場所でしたが、最近は株主優待株の置き場所になりました。

Q4:一般NISA口座でお持ちの資産の内訳は?

 国内株式100%です。

Q5:一般NISA口座でどんな商品をお持ちですか? 

 株主優待株です。飲食系や小売系など、100株保有での株主優待利回りが良く、10万円以下で長期保有に困らない株主優待株が多いです。

Q6:一般NISAで金融商品の購入をできるのは今年までです。非課税投資枠が残っている場合、ご自身のNISA口座の運用方針はどうしますか?

 既に保有中の株主優待株の中から、株主優待の廃止リスクが低く、優待利回りが良い株主優待株をクロス取引(同一銘柄、同数量の買い注文と売り注文を同時に発注し約定させる取引)でNISA口座に置く予定です。

 ただ、最近面倒くさくなって、使い切っていません。実は、NISA口座の損益がNISA以外の株口座に比べて投資成績が悪く、悩んでいます。

 要は前述の株主優待株たちの値上がりが悪いだけで、それがNISA口座にあろうが普通の口座だろうが、投資劣後原因には変わりません。

 NISA口座に移すのではなく、いっそ全部売却しようかと思いつつ、利回りの良さに売却をためらっています。

Q7:来年、現行のNISAが刷新されて、新しいNISA制度が始まります。資産の割り当てなど今の運用方針を変える考えはありますか?

 新NISAでは、保有商品を売却してNISA枠を復活させることができるルール変更があるので、今後検討します。

 ただ、復活しようが成長投資枠は240万円上限と決まっているので、短期売買には不利で、やはり長期保有前提の株の置き場所になりそうです。

Q8:一般NISAをまだ始めていなかったり、投資枠が残っていたりする方にアドバイスをいただけますか?

 iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の最大活用が先決と思いますが、iDeCoを活用してもさらに投資資金が余る場合は、NISAを最大限活用すべきと思います。