スマホ市場の低迷で2023年上期に3割減益予想、下期以降の回復に期待

現地コード 銘柄名
02382

舜宇光学科技集団

(サニー・オプティカル・テクノロジー)

株価 情報種類

79.60HKD
(7/13現在)

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 中国の光学部品大手、舜宇光学科技の2023年6月中間決算について、BOCIは売上高が前年同期比8%減の160億元、純利益が同30%減の9億元との予測を明らかにしている。世界的なスマートフォン出荷の低迷と低スペック化が業績悪化見通しの背景。同社の利益の5割超は非スマホ向けだが、この分野では車載用レンズセット(VLS)が好調を示す半面、監視カメラやXR(クロスリアリティー)、デジタルカメラ、その他消費者エレクトロニクス製品向けが低調だった。ただ、続く下期にはスマホ出荷のプラス化や米アップル社の収益貢献度の上昇で、同社の利益率が上向きに転じると予想。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは携帯端末用レンズセット(HLS)、携帯端末用カメラモジュール(HCM)の出荷個数の低迷と価格の下落圧力を理由に、同社の2023年上期の予想売上高、予想純利益を11%、18%減額修正した。うちモジュール業務では、米ドル高が利益率に影響する見込み。競合の台湾企業、大立光電(ラーガン・プレシジョン)は4-6月期に前年同期比15%減収、24%減益と苦戦した上に、需要の先行きに対して弱気見通しを示しており、これが舜宇光学科技に対する市場の予想を大きく後退させる可能性がある。

 品目別に見ると、同社のHLS出荷個数は上期に前年同期比21%減。世界のスマホ出荷台数の縮小(1-3月に同13%減)とサプライチェーンの在庫調整が響いた。「iPhone14」向けのHLS供給で、同社の上期のシェアはまだ5%を大きく下回っており、アンドロイド市場の低迷によるマイナス影響をiPhoneで相殺するのは難しい状況にある。

 また、HCMの出荷個数も上期に12%減。6月単月では前年同月比29%増、前月比7%増と持ち直したが、これは前年同月実績の極端な低さが理由。BOCIは前月比ベースではすでに底を打ったとしつつ、力強い反発の勢いは今のところ見られないとしている。

 一方、車載用レンズの出荷数は上期に25%増。電気自動車(EV)の好調などを背景に、通期で「前年比15%増」という経営陣のガイダンスを上回る可能性が高まっている。

 このほかXRデバイス向け部品の上期の売上高は会社予想の30%増を下回る見込み。「Apple Vision Pro」が正式発売される2024年まで同部門の成長は期待しにくいという。

 BOCIはスマホ部品の出荷低迷を受け、2023-25年の予想EPS(1株当たり利益)を6%下方修正したが、「iPhone15」向けのカメラレンズや車載カメラモジュールがけん引役となり、下期には業績改善が期待できるとの見方。2024年予想PER(株価収益率)30倍をあてはめ、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続した。

 レーティング面の潜在リスク要因としては、スマホ向け高機能部品の需要低迷や、市場シェア拡大の予想外の遅れ、新たな価格競争の勃発、マクロ経済環境の悪化などの可能性を挙げている。