2023年上期に実質2.7倍増益を予想、コロナ後の営業正常化と店舗網の拡大が寄与

現地コード 銘柄名
09922

九毛九国際

(ジュウマオジュウ・インターナショナル)

株価 情報種類

13.22HKD
(7/5現在)

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 中国の大手レストランチェーン、九毛九国際の2023年6月中間期のコア純利益について、BOCIは前年同期実績の2.7倍に当たる2億2,900万元を予想している。売上高に関しては同53%増を予想。粗利益率の同1.4ポイントの悪化を見込みながらも、売上高販管費率の6.1ポイントの低下などが利益成長率の押し上げに寄与するとみている。また、主力の四川料理チェーン「太二」の店舗網の拡大は順調に進んでおり、火鍋チェーン「慫重慶火鍋廠」(Song Hot-Pot Factory)」の出店ペースも、経営陣が示した通期目標を上回ると指摘。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年上期の売上高は前年同期比53%増の28億9,600万元に上る見込み。ブランド別では、「太二」が47%増、西北料理の「九毛九」が12%増、その他(主に慫重慶火鍋廠)が265%の増収を達成すると予想。◇既存店売上高の伸び、◇上海市のロックダウンで2022年4-6月期に営業停止となっていた一部店舗の回復、◇店舗網の拡大――を増収見通しの理由に挙げている。上期の出店数は「太二」が推定約45店舗(うち13店舗は前年からの延期分)、「慫重慶火鍋廠」が約15店舗。既存店売上高は、「太二」でコロナ前の2019年当時の80-90%まで回復し、「九毛九」でも75-85%まで持ち直すと予想。海外でも「太二」の既存店が健全な収益性を確保し、今後の海外出店を後押しする見通し。

 BOCIの予測では、2023年上期には粗利益率が前年同期比1.4ポイント縮小する半面、営業利益率は同4.7ポイント上向く見込み。「太二」は2022年10-12月期に値下げとプロモーションを行ったが、BOCIは格安セットメニューの設定を含む販促キャンペーンは今後段階的に終了し、粗利益率に対する悪影響も縮小するとみる。また将来的には、サプライチェーンの強化が粗利益率の改善に寄与するとの見方だ。このほか、上期には営業再開に伴うマーケティングの強化で、広告宣伝費の対売上高比率が小幅に上向く半面、営業レバレッジのプラス効果で、人件費と減価償却費の同比率が前年同期比3.7ポイント、2.5ポイント低下すると予想。その結果、上期のコア利益は前年同期の8,500万元から2億2,900万元へ2.7倍に増加。コア純利益率は3.4ポイント改善するとみる。

 BOCIは2023-25年の予想純利益と予想EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)を調整した上で、2023年予想EV/EBITDA倍率18倍をあてはめ、目標株価を小幅に引き下げた(2024年予想では同11.4倍)。新たな目標値は2024年、2025年の予想PER(株価収益率)で34倍、25.8倍に当たる水準となる(EV/EBITDA倍率はEV=企業価値がEBITDA=利払い・税引き・償却前利益の何倍に当たるかを表す指標)。

 一方、レーティング見直しにつながる潜在リスク要因として、BOCIはコロナの影響の長期化、特定メニューに対する過度の依存、食の安全問題、商品・賃金インフレ、マルチブランド戦略の予想外の遅れなどの可能性を挙げている。