2023年4-6月期に収益成長加速へ、不動産支援策や消費回復が下期の追い風に

現地コード 銘柄名
03968

招商銀行

(チャイナ・マーチャンツ・バンク)

株価 情報種類

34.10HKD
(7/6現在)

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 中国の商業銀行準大手、招商銀行の2023年6月中間期の純利益について、BOCIは前年同期比9.0%増を予想している(2023年1-3月期は7.8%増、2022年通期は前年比14.2%増)。経常収益に関しては同1.5%増を予想(2023年1-3月期は1.7%減。2022年通期は4.5%増)。資産の質は業界内でも際立って優良であるとし、4-6月期には不良債権比率がさらに小幅に低下する可能性を指摘している。同行が特に強みを持つリテール銀行業務は4-6月期も高い競争力を維持し、より多くの富裕層顧客を取り込む見通しという。また、続く2023年下期には一段の不動産支援策と消費の回復により、同業銘柄以上の恩恵を受けるとの見方。予想ROAE(平均株主資本利益率)を銀行セクターの最高水準に維持し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 招商銀行の資産の質は4-6月期も際立った高水準を維持する見込み。不良債権比率は2022年末の0.96%、2023年3月末の0.95%から、6月末には0.94%へさらに改善するとみる。この数字は同業銘柄の中で最も低く、同行の資産の優良性を示している。また、不良債権引当カバー率(不良債権残高に対する貸倒引当金の比率)も6月末に448%と、業界最高水準を維持する可能性が高い。

 純金利マージン(NIM)は3月末には2.29%と、前年末比で0.11ポイント悪化したが、これは年初の貸出金利の調整と実体経済への支援を優先させるという政策方針が背景。BOCIは続く6月末には2.27%へ、小幅ながらもさらに下向くとみている。

 この先予想される一段の不動産支援策は同行にプラスとなる可能性が高い。不動産開発事業向け融資の不良債権比率が2021年の1.41%から、2022年には4.08%に悪化したためで、この分野では、BOCIがカバーするH株銀行銘柄のうち、同行の不良債権比率の上昇幅が最も大きかった。2023年1-3月期には、同融資の不良債権比率はさらに上昇している。BOCIは下期には、中国当局が新たな不動産支援策に動くと予想。同業銘柄以上に、同行への恩恵が大きいとしている。

 BOCIは業界トップクラスの資産の健全性や最高水準にある不良債権引当カバー率、リテール業務における競争力、ROE(株主資本利益率)の高さなどを理由に、同行株価は同業銘柄に対してプレミアム水準に値すると指摘している。また、一段の不動産支援策や消費回復の可能性から、同行株価のバリュエーションが下期に上向くとみる。2023年のROAEに関しては同業銘柄の中で最も高い16.6%を予想。2023年予想PBR(株価純資産倍率)1.4倍をあてはめた上で、目標株価を維持し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。