シニア世代が後悔する金融商品3:現金化できず、コスパの悪い「EB債」
EB債(他社株転換可能債、Exchangeable Bond)とは仕組債の一種で、投資資金を償還した際に、株式で返ってくる可能性のある債券のことです。株式に転換されるリスクがあるため、一般的な債券に比べて利率が高く設定されています。
よくある仕組みでは、参照銘柄の株価が50~60%程度まで下落しなければ、株式償還による損失が発生せず、年間数%から高ければ10%近い利率を受け取れることもあります。
「この銘柄ならそこまで下がらないだろう」と感覚的な判断で投資をしている方が多くいらっしゃいますが、下がる可能性があるため成り立つ商品といえます。
またEB債の多くは参照銘柄の株価が上昇した場合に、早期償還(元金の100%が償還)される可能性があり、その場合には当初想定した利息を受け取ることができなくなります。
早期償還され、再度EB債を購入すれば、販売側はその都度手数料を受け取ることになります。しかし、個人投資家にとってメリットはほとんどありません。
その上、仕組債は途中換金が原則できません。
いざというときに現金化して使えない金融商品は、シニア世代にはおすすめできません。
シニア世代が後悔する金融商品4:高利回りだけど為替リスクが怖い「新興国通貨建債券」
先進国の金利はどこも、昔に比べて低水準に落ち込んでいます。しかし、新興国の金利は今でも高いままです。5%以上の金利も珍しくなく、場合によっては20%近い金利を受け取ることができます。
このため、新興国通貨建ての債券に投資をして、高い金利を受け取っておけば多少の為替リスクがあっても、老後も安心して利息収入を受け取れる、と考える人がいます。
2008年9月に起きたリーマン・ショックが多少落ち着いた2010年ごろから、新興国通貨建て債券へ投資する投資信託が流行しました。その後も新興国通貨建ての外国債券も多く販売されるようになりました。しかし、現在ではほとんどの人が大きな損失を抱える結果となっています。
2010年当時人気だったブラジルレアルは、対円で約50円でしたが現在では約20円と60%程度も下落。トルコリラに至っては、約60円だったものが現在では一時は6円近くまで落ち込み、90%ほど下落しています。当時は高いと思った金利もこれでは意味がありません。
さらに恐ろしいことに、金利が現地通貨ベースで支払われるため、円高が進めば進むほど、当初予定の金利よりも日本円ベースでは低い水準となってしまうのです。
見た目の金利の高さだけを信用してはいけません。「本当に」高い金利といえるのか、リスクを考えた上で判断しましょう。