シニア世代が資産運用で陥りがちな落とし穴「安心・安定・安全」
50代以降になると、投資目的が40代までとは変わってきます。積極的に資産を増やしたいというより、すでにある資産を安定的に増やしたい、もしくは利息や配当の収入で余裕のある生活を送りたいというニーズが高まるためです。
それと同時に投資に対しても慎重に向き合い、誰しも「安心」できる商品で「安定」した運用結果を「安全」な方法で得たいという気持ちになるのではないでしょうか。
しかし、このような「安心・安定・安全」の観点は、運用する人によって状況は大きく変わります。もし、リスクを取らずに「安定」した運用結果だけ欲しいと考えているなら、そんな「うまい話」はありません。そう考えていた方は、いきなり資産運用を始めずに、まずは投資知識を蓄えることから始めた方がよいでしょう。
まず投資で大事なポイントは失敗事例とその理由を学ぶこと、そして自分にあった投資方法を知ること、さらに投資する商品のメリットとデメリットを理解することです。
シニア世代が後悔する「悲惨な投資先」とは?
シニア世代が「買ってはいけない5つの金融商品」では、避けるべき商品の特徴として、次のことをお伝えしました。
- 「コストが割高な商品」
- 「リターンが高い商品(リスクが高い商品)」
- 「現金化しづらい、現金化に時間がかかる商品」
- 「仕組みが複雑!分かりづらい商品」
- 「安定した利息・配当が約束されたように見える商品」
今回はさらに、これら「買ってはいけない金融商品」を具体的に挙げ、解説します。
シニア世代が後悔する金融商品1:運用中のコストが高い「投資信託」や「ファンドラップ」
安定した運用成果を期待し、分散投資された金融商品を、シニア世代にはすすめられることが多いようです。
ところが、長期分散投資といえば王道ですが、中には運用中に支払う費用が非常に高い商品もあるため、注意が必要です。この費用は日々の価格の中から差し引かれているために、どのくらいの金額を支払ったかが実感しづらいという問題点があるからです。
例えば、1,000万円を年間費用1.5%の投資信託で運用した場合、単純計算で年間15万円、20年間では300万円もの費用を支払うことになります。
利益が出ているときは、こうした運用中の費用をあまり気にしない人がほとんどのようです。しかし、利益のありなしに関係なく支払う必要があることを認識し、普段からコスト管理をしていれば、より多くの利益を出せたり、損失も少なく済むようになります。
運用の年間コストは、高くても1%以下を目指すように心掛けておきましょう。
シニア世代が後悔する金融商品2:実は高コストでローリターン「為替ヘッジ付債券ファンド」
安定運用といえば債券投資ですが、日本の低金利では円建ての債券ではほとんど利益が出ないのが現状です。しかし、外国債券投資であれば2~4%程度の期待リターンがある商品もあります。その代わりに為替リスクが発生するので、為替の値動きによっては損失となってしまう可能性があります。
そこで、為替リスクを抑えるヘッジ投資を組み合わせた債券ファンド「為替ヘッジ付債券ファンド」が注目され、銀行預金などから購入される方もいます。しかし、ヘッジにかかるコストは一定ではありませんし、商品によっては運用コストも差し引いてリターンを考える必要があります。このタイプの商品はよく販売されているものほど、要注意です。
「安心・安定・安全」な運用が「できそうな」商品ほど気をつけましょう。