2023年上期も利益成長と優れた資産の質を維持へ、不動産テコ入れ策が追い風

現地コード 銘柄名
01658

中国郵政儲蓄銀行

(ポスタル・セービングス・バンク・オブ・チャイナ)

株価 情報種類

4.90HKD
(6/29現在)

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 中国版のゆうちょ銀行、中国郵政儲蓄銀行の2023年6月中間期の純利益について、BOCIは前年同期比7.5%増を予想し、大手銀行銘柄の中では悪くない利益成長率を達成するとの見方(2023年1-3月期の純利益は同5.2%増、2022年通期は前年比10.8%増)。経常収益に関しては4.0%増を見込んでいる(1-3月期は3.5%増、2022年は5.1%増)。また、4-6月期も飛びぬけた資産の健全性を維持すると予想し、不良債権比率は同業銘柄の中で最も低水準、不良債権引当カバー率(不良債権残高に対する貸倒引当金比率)は最高水準を維持するとみる。ほかに、リテール業務の優位性やウェルスマネジメント・システムの構築に向けた努力を背景に、役務取引等利益(純手数料収入)も相対的に高い伸びが続くと予想。純金利マージン(NIM)の縮小ペースも落ち着く見通しを示し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 中国郵政儲蓄銀行の不良債権比率は2023年3月末時点で0.82%と、2022年末の0.84%からさらに低下。同業銘柄の中で最も低水準だった。続く6月末について、BOCIは0.82%へ一段の改善を見込む。

 純金利マージンの悪化にはある程度歯止めがかかる見込み。実体経済への支援の強化や年初の貸出金利の調整が響き、同行の純金利マージンは2023年3月末時点で2.09%と、2022年末から0.11ポイント縮小した。ただ、資金調達コストの低減を受け、4-6月期には縮小圧力が軽減する見込み。BOCIは6月末の純金利マージンについて、2.07%との予想を示している(2022年末比で0.13ポイント低下)。

 役務取引等利益はリテール業務およびウェルスマネジメント業務の強化戦略を背景に、相対的に高い伸びを維持する見込み。上期については前年同期比22%増を予想(1-3月期は27.5%増)。H株の銀行銘柄の中では、最も高い伸びを維持するとみる。

 一方、中国当局による不動産テコ入れ政策は同行に有利となる可能性が高い。BOCIがカバーするH株銀行銘柄のうち、同行は融資全体に占める不動産ローンの割合が最も高い(2022年)。従って、当局が下期に不動産支援策を一段と強化すれば、同業銘柄以上に、大きな恩恵が及ぶ可能性が高い。

 同行のH株は現在、2023年予想PBR(株価純資産倍率)0.56倍で取引されており、BOCIは過小評価されているとの見方。優れた資産の質や役務取引等利益の高い伸び、相対的に高い利益成長見通しから、さらに高いPBRに値するとした。2023年予想PBRで約0.85倍に基づく目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。