2023年度決算の下振れも香港小売市場の復調に期待、本土の消費不振をカバーへ

現地コード 銘柄名
00590

六福集団国際

(ルック・フック・ホールディングス)

株価 情報種類

23.20HKD
(6/28現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 香港系の宝飾品製造販売大手、六福集団の2023年3月本決算は、中国本土事業の低迷により、市場コンセンサス予想から下振れた。BOCIは本土消費市場の二極化による同社への影響を見込みながらも、続く2024年3月期には渡航規制の終了を受けた香港小売市場の回復が追い風になると予想。香港を訪れる本土富裕層を取り込むことで、本土部門の低迷をカバーする見通しを示した。会社側が示した香港・マカオ部門の売上目標はコロナ前の水準の回復だが、これは達成可能との見方。香港・マカオ業務の比重の高さを前向きに評価し、同業他社の中でも相対的に高い株価パフォーマンスを達成する可能性を指摘。同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年3月期の純利益はBOCIの予想を14%下回る12億8,500万HKドル(前年比7.7%減)。特に年度下期は前年同期比20%の減益だった。本土各地のロックダウンを受けたダイヤモンド製品の需要減で、本土卸売事業(下期に37%減収)が低迷したことが痛手。下期には粗利益率が改善したにもかかわらず、営業レバレッジ面のマイナス効果が顕在化した。半面、香港・マカオおよび海外部門は下期に回復の勢いを見せ、小売売上高が前年同期比44%の伸びを示している。

 経営陣が示した2023年4-6月(21日まで)の最新数字を見ても、本土以外が好調。香港・マカオの既存店売上高は前年同期比70%増を記録しており、BOCIは年度末までこの勢いが続くとみる。こうした中、同社は2024年度内に、香港に5店舗、海外に10店舗を出店する計画。BOCIは2024年度には、本土以外の事業の売上構成比が6割を超えると予想し、同業銘柄に比べ、中国経済の減速によるマイナス影響を受けにくいとしている。

 本土の既存店売上伸び率は4月以降もほぼ横ばい。店舗網の拡張ペースも鈍り、同社は2024年度の出店目標(店舗純増数)を500店から350店に下方修正した。2023年度に前年比20%増との目標が未達に終わったネット販売に関しても、同10%増とのかなり慎重な目標を設定している。BOCIは本土の市況全体と一致した目標水準だとしながらも、短期的には経営陣の慎重姿勢が投資家を落胆させる可能性があると指摘。やはり、「コロナ前」並みの目標を設定した香港・マカオ部門の回復が支援材料となる見通しを示している。本土政府が景気刺激策による効果で、この目標の達成は可能との見方だ。

 BOCIは本土での販売不振を反映させる形で、2024-25年の予想EPS(1株当たり利益)を10-14%下方修正。引き続き2024年予想PER(株価収益率)9倍をあてはめ、目標株価を引き下げた。ただ、現在株価の低バリュエーションや香港小売事業に対する期待から、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、本土消費市場の低迷の長期化や金価格の変動に伴う粗利益率の悪化、出店ペースの鈍化、競争激化を受けた販管費の増大などの可能性を挙げている。