2023年度決算の4割減益も今期に業績回復へ、ガス価格政策の変更が追い風

現地コード 銘柄名
00384

中国燃気控股

(チャイナ・ガス)

株価 情報種類

8.85HKD
(6/27現在)

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 中国の都市ガス大手、中国ガスの2023年3月本決算は、純利益が前年同期比44%減の42億9,300万HKドルと、BOCIの予想を31%下回った。利幅とガス管の新規接続件数の下振れによるもの。ただ、住宅用ガス料金に関する政府当局の新規定やLNG(液化天然ガス)価格の反落を理由に、同社は続く2024年度について大幅な利益率の改善を見込む。BOCIは2024-25年度の利益見通しを減額修正し、目標株価を引き下げながらも、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年度には、中国石油メジャーによる比較的安価なガスの供給が不足したために高価なLNGの調達を迫られたが、住宅用ガス料金へのコスト転嫁が進まず、利幅が縮小。1立方メートル当たり利益は前年度の0.5元から0.42元に低下し、BOCIの予想(0.47元)を下回った。もう一つ、コロナ禍での混乱と不動産不況に伴う新築住宅の減少で、住宅用のガス管新規接続件数が前年比22%減の約230万件に縮小したことも通期の減益要因となった。

 ただ、ガス小売価格に関する国家発展改革委員会(NDRC)の新政策は、都市ガス会社にとって大きな追い風。NDRCは従来の「ゲート価格」(当局が決定する長距離ガス輸送ラインの出口価格であり、川下の都市ガス事業者にとっては仕入れ価格)に代えて、混合平均ガス調達コストを小売価格の設定上の基準とする方針。この基準に適正な流通マージンを上乗せし、住宅用の小売価格を決める。そうなれば、都市ガス会社はたとえ高価な代替ガスの調達を迫られても、小売価格に転嫁することが可能。価格調整は年2回、認められる。さらに、地方部での「煤改気」(石炭からガスに使用燃料を切り替える政策)プロジェクトも、この住宅用ガスに分類されるという。同社は住宅用のガス販売比率(2023年度に36%)が同業他社より高く、新たな政策による恩恵が特に大きい。

 ガス管の新規接続業務の減速と設備投資の抑制により、同社のフリーキャッシュフロー(企業が自由に使える現金)は2022年度の23億元のマイナスから、2023年にはプラス25億元に改善した。

 同社は2023年度に0.42元まで低下した1立方メートル当たり利益が、2024年度には0.56元に改善するとの見方。コロナ関連の混乱が再度発生しない限り、小売販売が前年比10%増へ加速するとみる。BOCIはガス管接続業務の下押しを理由に、2024-25年度の利益見通しを減額修正。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)方式に基づく目標株価を引き上げた。ただ、NDRCの新政策が大きな不確実性の払拭(ふっしょく)につながると指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、新政策によるプラス効果が予想を下回る可能性と、付加価値サービス業務の成長率が予想を下回る可能性を挙げている。