2023年1-5月の新規成約が低調、上期の減速も下期に4割強の増収達成か

現地コード 銘柄名
02269

薬明生物技術

(ウーシー・バイオロジクス)

株価 情報種類

38.75HKD
(6/12現在)

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 バイオ医薬品の開発受託会社、薬明生物技術は6月20日のインベスターデーの会合で、業務情報を更新。2023年1-5月に取得した新規プロジェクトが25件にとどまり、2023年通期の見通しを「120件強」から「80件」に下方修正した。主にバイオテクノロジー分野における資金調達環境の低迷によるもので、この傾向は特に中国で顕著。ただ、多額の売り上げが見込まれる新規のCMO(医薬品製造受託)プロジェクトは1-5月にうち4件と、通期見通しの4-6件を上回るペースとなった。経営陣は前年実績の高さなどを理由に、2023年上期の売上高について10%台前半を予想。ただ、通期では前年比30%の増収見通しを据え置いた。BOCIは2023年上期に前年同期比13%、下期に46%の増収を予想し、上期の利益率は前年同期を下回るとの見方。目標株価を引き下げながらも、現在株価の低バリュエーションを指摘し、株価の先行きに強気見通しを継続している。

 新規プロジェクトは1-5月に25件と、BOCIの予想を下回ったが、これはバイオテックの資金調達ペースの鈍化や販売サイクルの長期化、2022年10-12月の記録的なプロジェクト成約状況の反動によるもの。経営陣は2023年通期の新規プロジェクトの成約見通しを80件に下方修正し、市場シェアはほぼ横ばいで推移する見通しを示した。新規プロジェクトの鈍化の理由として、市場そのものの萎縮を挙げている。

 半面、治験の後半段階や製品化段階を迎えたプロジェクトは増加。5月末時点で、外部プロジェクト8件がパイプライン(新薬候補群)に移管され、うち4件がフェーズ3(第3相臨床試験)段階、2件は各50億米ドル規模の売り上げが見込める画期的新薬のCMOプロジェクト。CMOの総数は2022年末の17件から21件に増加した。

 経営陣は前年同期実績の高さを理由に、2023年上期の売上高について10%台前半を予想しながらも、通期では前年比30%との増収見通しを据え置いている。CMOおよびフェーズ3の増加が、初期開発段階にあるプロジェクトの低迷をカバーする見通しや、非コロナ部門の同60%の増収見通しが理由という。

 BOCIは2023年上期と下期の売上高についてそれぞれ前年同期比13%、46%を予想。上期には粗利益率が41.5%(前年同期は47.4%)に低下し、全般に利益率が悪化するとみている。通期では売上高と調整後純利益が前年比30%、26%増加するとの見方。成約ペースの減速を反映させる形で、中期の予想売上高を引き下げるとともに、海外での業務拡張面の圧力を理由に予想粗利益率を下方修正した。これに伴い、目標株価を引き下げながらも、現在株価は2023年予想PER(株価収益率)25倍、PEGレシオ0.8倍と、相対的に低水準にあると指摘。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、バイオテックの資金調達環境の後退や、競争激化、地政学リスクを挙げている。