2023年上期の苦戦も業況底打ち感、2024年には採算性が大幅回復へ

現地コード 銘柄名
02313

申洲国際集団控股

(シェンジョウ・インターナショナル)

株価 情報種類

78.15HKD
(6/20現在)

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 BOCIは域内の同業他社の受注状況や業績見通しを受け、2023年上期もアパレルメーカーにとって厳しい事業環境が続いたと指摘している。ただ、大手ブランド向けのOEM(相手先ブランドの製造受託)生産を手掛けるニット衣料大手、申洲国際集団に関しては、まもなく最悪期を脱するとの見方。主要取引先の在庫調整が順調に進み、2023年下期、2024年の受注回復につながる見通しを示した。2024年には、収益性が明確に回復するとみる。また、短期的には、米ナイキなど大口取引先の四半期業績が支援材料となる可能性を指摘し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは台湾のマカロット・インダストリアル(聚陽実業)、エクラ・テキスタイル(儒鴻企業)などの報告を参考に、申洲国際集団の2023年上期決算が厳しい内容になるとみている。ユニクロ、ナイキ、アディダス、プーマといった主要取引先の在庫が依然高水準にあり、調整に時間がかかるため。上期の受注の低調が生産ラインの稼働率の低下や粗利益率の縮小につながる可能性があるとした。ただ、申洲国際集団の業績は同業他社に比べて底堅いとの見方。その理由として、取引先の業績が相対的に堅調であることや、事業効率の最適化を挙げている。

 さらに、アパレルOEM業況はすでに底打ちの段階にあるもようで、例えばエクラは受注が持ち直しつつあると報告。2023年10-12月期には、売上高が前年同期比で増加に転じると予想し、2024年上期には業界全体が成長軌道を回復するとの見通しを示した。また、マカロットは2023年下期の受注について、上期比での緩やかな伸びを見込む。BOCIはユニクロの日本での月次売上高の堅調が底打ち判断の材料になるとの見方。また、6月29日にはナイキが在庫調整に関する最新情報を公表する予定だが、H&MやASOS、ヒューゴボスなどの状況を考慮すれば、ナイキの調整も順調に進んでいる可能性が高く、ポジティブな情報の発信が期待できるという。

 大手アパレルブランドの在庫調整が計画通り進んだ場合、申洲国際集団を含むアパレルOEM業界全体の2023年下期、2024年の受注見通しも改善する。BOCIは他地域の同業他社のガイダンスを参考に、2024年は設備稼働率の上昇や営業レバレッジの改善により、収益性が大幅に改善する最初の年となる見通しを示した。このシナリオの下、同社の粗利益率は約30%まで回復し、利益成長を後押しするとみている。

 BOCIは中国の小売市場の低迷を反映させる形で、同社の予想EPS(1株当たり利益)を4-7%下方修正した。2024年予想PER(株価収益率)22倍をベースに目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、大口取引先の需要減、新規生産能力の増強の遅れ、人件費の高騰、為替の変動、政策リスクなどを挙げている。