新型モデル「銀河L7」が出足好調、NEVシフトの先行きを楽観

現地コード 銘柄名
00175

吉利汽車

(ジーリー・オートモービル)

株価 情報種類

9.94HKD
(6/19現在)

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 BOCIは自動車大手の吉利汽車を対象とした販路リサーチの結果、新型NEV(新エネルギー車)「銀河 (Galaxy) L7」の販売が好調に推移していると報告した。プラグインハイブリッド(PHV)のSUV、「銀河 L7」は5月31日に正式に発売されたが、当初1カ月の販売台数が5,000台を超え、その後は1万台前後で安定すると予想。走行距離55km(WLTCモード)タイプの7月の追加投入や販路の拡大がL7の販売増に寄与する見通しを示した。同社全体の販売台数は年初から通期目標を下回るペースだが、BOCIは「Zeekr」の納車状況の回復やICE(ガソリン車など内燃エンジン)車市場でのシェア拡大といったプラス要素に着目。株価にはL7に関する前向きなフィードバックやNEVへの本格シフトに向けた道筋の明確化という好材料が反映されていないと指摘している。収益見通しの上方修正に伴い目標株価を引き上げた上で、株価の先行きに対して強気見通しを継続。短期的にはL7の販売好調や「L6」の8月の投入が支援材料になるとしている。

 BOCIのリサーチによれば、「銀河 L7」の注文の6割以上がハイエンドの「星艦(スターシップ)」グレードであり、このタイプの販売価格は17万3,700元。航続距離115km(WLTCモード)の長距離タイプに続き、7月には短距離型(55km)が投入される予定であり、一段の販売増が見込めるという。また、同社は現在約200の販売店を年末までに700店に増やす計画。さらに8月にはA+クラスのセダン「L6」(PHV)、11月にはBクラスセダンの「E8」(バッテリー式電気自動車BEV)を投入する予定となっている。

 一方、ボルボとプラットフォームを共有する「Lynk&Co」の売れ行きは22年から思わしくなく、今後2-3年でNEVへの転換を強力に進める。25年までに新型モデル6-8種を投入する予定。プレミアムEVブランドの「Zeekr」と差別化するため、20万-30万元の価格設定で、メインストリーム市場を狙う。

 中国の多くの地場系メーカーは海外市場の開拓において輸出の拡大や海外での工場建設を目指すが、吉利汽車は外国企業との連携を通じた技術供与の機会をうかがう。例えば傘下のプロトンやルノーとの合弁事業がその事例(吉利汽車のハイブリッド、PHVのパワートレイン技術を採用する)。BOCIはこの点から、販売台数の拡大以外に、非自動車ビジネスの発展性という点で、同社の独自性を前向きに評価している。

 業績面では「Zeekr」の販売の急回復やICE車市場でのシェア拡大(22年の6.5%から7.1%へ)、年間調達価格の引き下げを巡るサプライヤーとの合意がプラス。4-6月期以降は調達コストの抑制が、価格競争によるマイナス影響をカバーする見通しとなった。

 BOCIは「Zeekr」の非車両収入(バッテリーパックなど)や知財収入の伸びを反映させる形で、2023-24年の予想売上高を7-8%増額修正し、2,054億元、2,469億元とした。さらにコスト削減を理由に、予想純利益を1-9%増額し、42億元、48億元に設定した。