やってはいけない「投資信託」選びの注意点

 取り扱い本数が特に多いネット証券を見ると、投資信託(ファンド)は2,500本以上あります。

 試しに楽天証券で条件を指定して検索してみると、積み立て投資できる投資信託が2,555本、そしてNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)で利用できるものが2,614本、つみたてNISAは172本、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)で利用できるものが31本ありました(2021年5月23日現在)。

 30本程度なら時間をかけて一つ一つ比較検討することもできるかもしれませんが、それ以上の数になると、時間ばかりがかかり、なかなか投資を始めることができません。

 また、時間をかけて投資信託を選んだものの、実は買ってはいけない投資信託を選ぶ人(=やってはいけない投資信託選びをしてしまった人)は多いのです。

 実際に私たちがお客さまから相談を受けた中で、よくある失敗やその理由をまずはお伝えしたいと思います。

やってはいけない投資信託選び1:コスト比較をせずに買っている

 投資信託はどの金融機関で買っても保有中の費用や売却時の費用は同じです(かからない場合が多い)。

 しかし、購入時に支払う「販売手数料」は、金融機関ごとに違います。金融機関の担当者から提案を受けたとき、アドバイス料として割り切って手数料を支払う方もいますが、ネット証券では投資信託の販売手数料が0円であることがほとんどです。

 その一方で、似たような商品の投資信託でも、保有中の費用が異なっていたり、投資先は同じようでも、投資信託とETF(上場投資信託)では手数料が大きく違うこともあります。

 商品を検討する際には、ぜひコストを比較するくせをつけましょう。

やってはいけない投資信託選び2:同じような商品ばかり買っている

「一つの商品にまとまった金額で投資をしたくない」という人の中には、実は投資先が同じような商品をいくつも買っている人がいます。

 投資信託一つひとつを比べると多少の違いはあるかもしれませんが、実は大きな違いがないケースがほとんどです。

 むしろ保有している投資信託全体の値動きを見ると、一つの商品の値動きに近くなるか、市場全体へ投資したインデックスに連動した値動きになることも少なくありません。

 本来、値動きの違う資産を複数組み合わせることで、リスク(資産価格の変動率)を抑えて、安定したリターン(期待収益)を狙いますが、同じような商品ではあまり意味はありません。