経済の仕組み
昨日、FRB(米連邦準備制度理事会)は市場の予想通り11会合ぶりに利上げを見送った。FRBは金利をレンジ上限の5.25%に維持するが、今年さらに2回の利上げを見込んでいる。0.25%の利上げであと2回分だ。
パウエルFRB議長の会見を受けて、金利先物は2023年中のいかなる利下げも見込まなくなった。わずか3週間前、市場は2023年末までに4回の金利引き下げが行われると予想していたのである。
フェデラル・ファンド金利の現在の市場の予測
ドル/円(日足)
米国の利下げ見通しはかなり後退したが、こうした見通しはころころ変わる。FRBは玉虫色の発言をすることで、あらゆる選択肢を残したままにしている。
変わらないのは以下の図にある経済の仕組みだけである。
経済の仕組み
FRBは何年もかけてインフレを引き起こした(QE1から無制限のQE、レポによる救済、大量の通貨供給量の拡大)。FRBはインフレを、プーチン、パンデミック、気候変動のせいにしながら、米国の労働者階級と他のグローバルな同盟国に背中を向けて、自分たちのインフレ騒動を片付けることになるだろう。
「ハードランディングは、私の基本方針であった。そして今、それは明らかに避けられないものとなっている。経済の安定とインフレ対策には、政策金利の大幅な引き上げが必要だ。しかし今、金融安定化のリスクは政策金利の引き下げを必要としている。だから、私たちは危機を迎えることになる」
(ヌリエル・ルービニ)
過去10年間、国家管理相場とでも呼ぶべき政府の大規模な金融介入が行われ、金融市場はそれぞれの経済の根底にある連関から大幅に歪められた。このような長期的な成長トレンドからの乖離(かいり)は持続不可能だ。
グランサムが述べているように、われわれは過去100年間で4番目のスーパーバブルの中にいるのだろう。
「先進国におけるすべての2シグマ株式バブルは、トレンドに回帰しました。 しかし、それ以前には、1929年と2000年の米国では1989年に日本で、3シグマ以上のスーパーバブルになったのはほんの一握りでした。2006年には米国で、1989年には日本でも住宅にスーパーバブルが発生しました。これらの5つのスーパーバブルはすべて、平均よりもはるかに大きくて長い痛みを伴うトレンドまでずっと修正しました。今日、米国では、過去100年間で4番目のスーパーバブルの中にいます」
(ジェレミー・グランサム)
実質S&P500インデックスと歴史的金融危機
FRBは2019年7月に利下げを開始し、同時にQTの停止をしたが、今度もFRBが同じことをしてくれるというのが市場の期待なのである。
政策金利の上限値と平坦域(利上げ停止期間)
FRBが利上げ路線を続ければ何かが壊れると債券王ジェフリー・ガンドラックは警告している。このバブル相場の賞味期限は米国の利下げまでである。
利下げまでの米国株の上昇は「死の舞踏」か!?
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