米国高配当株3:ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)

 1902年に設立された、世界有数のマルチカテゴリー消費財メーカーです。全世界で5万人以上の従業員がおり、アジア太平洋・中東・アフリカ・アメリカ大陸・欧州などの六つの大陸で事業を展開しています。

 戦略的なポートフォリオとして、世界的なたばこブランドを中心に、紙巻たばこなどの燃焼式たばこ製品のほか、さまざまな非燃焼式の次世代代替製品を有しており、絶え間なく変化する消費者のニーズや嗜好(しこう)を満たしつつ、全てのステークホルダーに持続可能な価値を提供することを目指しています。

 時価総額は718億ドルで、日本円で約10兆500億円となっています(1USD=140円換算)。  

事業の注目ポイント

 事業の中心は「米国事業(U.S)」で、続いて「AmSSA事業(南北アメリカおよびサハラ以南のアフリカ、AMERICAS AND SUB-SAHARAN AFRICA)」、「欧州事業(Europe)」、「アジア太平洋および中東事業(ASIA-PACIFIC AND MIDDLE EAST (APME))」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

 事業は各販売地域を表記しており「U.S」は米国を、「AmSSA」は南北アメリカおよびサハラ以南のアフリカを、「Europe」は欧州、「APME」はアジア太平洋地域および中東を表しています。 

株式の注目ポイント

 株価は年初から下落して推移していますが、配当は今年に入って増配しています。株価は2019年以降、30~40ドル程度の間を推移しており配当は6~8%台で推移しています。

 健康志向の高まりを受けて紙巻たばこから顧客ニーズが変化する中、加熱式たばこgloやオーラルたばこVELOを販売する事で顧客の取り込みに成功しています。また、全米No.1のシェアを持つゼロニコチン使い切りタイプのベイプ製品「Vuse Go」などもマーケットを拡大しています。

 今後も非燃焼系製品拡大が予想されており、それに伴って業績も大幅に下落することなく株価も一定の範囲内で推移することが期待されます。

業績動向

 2023年2月9日開示の決算では、1株利益、売上ともに市場予想を下回りました。

 2022年にはロシアとベラルーシの事業譲渡、構造改革費用などの影響によって利益率が減少しました。しかし、会社側は非燃焼系製品の売上が30億ユーロに迫る勢いであり、2025年までに50億ユーロの売上目標を達成できると確信しているとしています。

 さらに会社側は非燃焼系製品がグループの財務強化の実現に大きく貢献し、自社の事業はキャッシュ創出力が高いことからリターンをさらに高めていけるとしており、今後の業績回復が期待されます。

 次回は2023年7月26日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 配当は四半期ごとですが、決算発表は半年ごととなっている点と、為替によって配当が変動する点には注意が必要です。 

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.78ドル
配当利回り:8.54%
株価:32.52ドル(約4,500円)

 この銘柄、権利落ち日は7月13日です(権利実施は8月23日の予定)。

 配当利回りは612日時点で8.54%、株価は32.52ドルでおよそ4,500円から購入できます(1USD=140円計算)。

 2020年からの最高値は47.18ドル、最安値は27.64ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:シスコシステムズ(CSCO)

 1984年の創業以来、ネット接続用ルーターを中心にインターネットを支える製品・サービスを提供する世界的な企業です。

 シスコシステムズが創業される以前は異種のローカルエリアプロトコルに対処する必要があることから、遠隔でのメールのやり取りすらも困難なことでした。しかし、同社のマルチプロトコルルーターが世に送り出されたことにより、さまざまな環境下でもメールなどのサービスが利用できるようになりました。

 現在では、アメリカ大陸を中心に欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋地域・日本・中国と世界中で事業を展開しています。

 時価総額は2,028億ドルで、日本円で約28兆3,400億円となっています(1USD=140円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「米国事業(Americas)」で、続いて「EMEA事業(欧州・中東・アフリカ、Europe, the Middle East and Africa)」、「APJC事業(アジア太平洋(Asia Pacific)・日本(Japan)・中国(China)の略)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「米国事業」、「EMEA事業」、「APJC事業」は販売地域を表しており、製品別の売上はスイッチング、エンタープライズ・ルーティング、ワイヤレス、コンピュートクラウドなどを扱う「Secure, Agile Networks」が約8割で、続いて「Internet for the Future」、「Collaboration」、「End-to-End Security」、「Optimized Application Experiences」となります。

競合他社

 競合他社として、特殊なネットワーキングソリューションのグローバルサプライヤーであるベルデン(BDC)、利用可能な帯域幅を管理し、加入者に提供できるサービスの範囲を決定するネットワークの一部であるアクセスネットワークに焦点を当てたクラウドおよびソフトウエアプラットフォーム、システム、およびサービスのプロバイダーであるカリックス(CALX)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初近辺の水準で推移していますが、配当は今年にはいって増配しています。業績の変動があまり大きい銘柄ではなく、それに伴って株価も大きな変動が少なく一定の範囲内で推移しています。

 ソフトウエアとサブスクリプションが好調に推移し、シスコシステムズ開発アプリWebexがアウディ2024年モデルの車両に導入されることが決まるなど、引き続き明るいニュースも増えています。

 このアプリはフォルクスワーゲングループでの利用も期待されており、今後も堅調な業績とそれに伴って安定的な株の値動きが期待されます。

業績動向

 2023年5月17日開示の四半期決算では、1株利益、売上ともに市場予想を上回りました。

 ビジネスモデルを変革している中で、SaaSを含むソフトウエアとサブスクの収益が増加していることが好調な業績につながっており、顧客のニーズもネットワーク構築、自動化、オーケストレーションデータのデジタル化などシスコシステムズが提供するサービスと合致していることから業績は拡大しています。

 また、非公開のクラウドネットワークセキュリティ企業である Valtix の買収を行うなど成長が期待できる分野への投資も積極的に行っています。

 次回2023年8月16日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 前年同月比で研究開発費、販売費、一般管理費が16%増加しています。幅広い製品をタイムリーに市場へ投入するために、研究開発などが膨らむのは仕方がないことですが、今後もさらに膨らんでいった際に業績への悪影響となる点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.56ドル
配当利回り:3.14%
株価:49.66ドル(約7,000円)

 この銘柄、権利落ち日は7月5日(権利実施は7月26日)です。

 配当利回りは612日時点で3.14%、株価は49.66ドルでおよそ7,000円から購入できます(1USD=140円計算)。

 2020年からの最高値は63.96ドル、最安値は33.20ドルとなっています(終値ベース)。