米国高配当株1:バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BK)

 合衆国初代財務長官であり、現在も10ドル札の肖像画人物であるハミルトンによって1784年Bank of New Yorkとして設立された米国最古の銀行です。2007年Mellon Financial Corporationとの合併によってBank of New York Mellonとなりました。

 ニューヨーク証券取引所 (NYSE) に上場した最初の企業で、現在では世界第1位のグローバル・カストディアン(投資家に代わって有価証券の保管・管理などの業務を行う金融機関)であり、米国債の清算および決済業務でも第1位となっている、世界の投資可能資産の約20%に関与している巨大金融機関です。

 時価総額は346億ドルで、日本円で約4兆8,400億円となっています(1USD=140円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「証券サービス事業(Securities Services)」で、続いて「マーケット&ウェルスサービス事業(Market and Wealth Services)」、「投資&資産管理事業(Investment and Wealth Management)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「証券サービス事業」では、Asset Servicing と Issuer Servicesの二つのラインから構成されています。Asset Servicingでは資産保管のためのサービスを提供するほか、ファンド会計サービスなどを、Issuer Servicesでは発行体および関連する投資家向けのあらゆるサービスを提供しています。

 また、「マーケット&ウェルスサービス事業」では金融機関、企業、財団、公的資金、政府機関などの事業体にビジネスサービスや技術ソリューションを提供しています。

競合他社

 競合他社として、主に代替資産管理サービスを提供するブルックフィールド・アセット・マネジメントLTD(BAM)、多様な金融サービス会社のファミリーを通じて、退職、資産管理、保険など、各種の金融商品やサービスを企業、個人、機関投資家に提供する金融会社であるプリンシパル・ファイナンシャル・グループ(PFG)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は2021年以降増配しています。

 業績は堅調であるものの、3月のUBSによるクレディ・スイス買収劇やシリコンバレー銀行(SVB)破綻によって金融株全体の株価が下落し、バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの株価も下落前の水準に戻っていません。

 しかし、上記による信用不安が落ち着くことで金融株への資金回帰が期待され、それに伴って株価の上昇も期待されます。

業績動向

 2023年4月18日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想通りでした。

 SVBの破綻で金融不安が強まったことで、平均預金残高が前年同期比で13%減少し業績面での不安もありましたが、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げによって金利収入が押し上げられたことで利益が前年同期比で拡大しています。

 会社側は、当社も他の大企業と同様に時代遅れのプロセスやシステムを多く抱えており、2023年を通してそれらを合理化していくことで長期的な成長イニシアチブを達成することが期待されると発表しており、今後のさらなる業績拡大が期待されます。

 次回2023年7月18日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。  

注意点

 米国の地方銀行不安や景気後退懸念を背景に、前年同期の200万ドルを上回って2,700万ドルの貸倒引当金を計上していますが、さらなる信用不安の際にはより多くの貸倒引当金の計上が予想され、業績への悪化リスクがある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.48ドル
配当利回り:3.33%
株価:44.43ドル(約6,200円)

 この銘柄、権利落ち日は7月下旬の予定(権利実施は8月上旬)です。

 配当利回りは612日時点で3.33%、株価は44.43ドルでおよそ6,200円から購入できます(1USD=140円計算)。

 2020年からの最高値は63.66ドル、最安値は27.49ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:エジソン・インターナショナル(EIX)

 米国最大の電力会社の一つであるSouthern California Edisonを傘下にもつ米国最大の電力会社の一つです。Southern California Edisonは136年にわたってカリフォルニア州中部、沿岸部、南部において約1,500万人の人々にサービスを提供しています。

 また、エジソン・インターナショナルの傘下には他にも商業、産業、機関投資家向けに統合的な脱炭素とエネルギーソリューションを提供するEdison Energy LLCというエネルギーアドバイザリー会社もあります。

 時価総額は263億ドルで、日本円で約3兆6,800億円となっています(1USD=140円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は傘下の「米国サザンカリフォルニアエジソン社(SCE、Southern California Edison)」の単独事業です。

「米国サザンカリフォルニアエジソン社」では、California Public Utilities Commissionおよび Federal Energy Regulatory Commissionによって認可された発電、送電、運転・保守などをカリフォルニア州にて提供しています。 

競合他社

 競合他社として、子会社を通じてエネルギー関連製品およびサービスを提供する持株会社であるコンソリデーテッド・エジソン(ED)、エネルギー供給事業を行う公益事業持株会社であるエバーソース・エナジー(ES)、電気および天然ガスの配送会社であるエクセル・エナジー(XEL)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は19年連続で増配しています。業績が堅調であることから株価は一定の範囲内で推移しており、配当も4%台で推移しています。

 事業内容から大幅な株価の上昇は難しいと考えられるものの、会社側は中型車や大型車を含め、顧客が電気自動車を受け入れて採用し始めているとしており、今後も安定的な電力需要が見込まれるとしていることから、堅調な業績とそれに伴って安定的な株の値動きが期待されます。 

業績動向

 2023年5月2日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 運転・保守費用の減少や米国連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission)による料金上昇を背景として利益が拡大しました。

 会社側は短期的にも長期的にも、会社にとって多くのポジティブな要素を見続け、会社の将来に期待を持っているとしており、短期的には山火事損失確率の減少、長期的には交通機関の電化によって引き続き電力需要が想定されることから堅調な業績で推移することが期待されます。

 次回は2023年7月27日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 燃料費の増加に対するヘッジをかけていますが、今後さらに燃料費の増加が進んだ際には業績に悪影響を与える可能性があり、その点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.95ドル
配当利回り:4.35%
株価:67.72ドル(約9,500円)

 この銘柄、権利落ち日は7月上旬の予定(権利実施は7月下旬)です。

 配当利回りは612日時点で4.35%、株価は67.72ドルでおよそ9,500円から購入できます(1USD=140円計算)。

 2020年3月からの最高値は78.20ドル、最安値は44.47ドルとなっています(終値ベース)。