日経平均が急上昇した三つのワケ
2023年4月以降、日経平均株価が急騰している。バブル後の戻り高値を更新し、2023年6月15日時点で終値は3万3,485円。33年ぶりの高値更新を維持している。

昨年以来、2万円台で停滞気味だった日本株が、なぜ3万円台を軽々突破し、今も右肩上がりに勢いづいているのか、「日本株は外国人が買えば上がり、外国人が売れば下がる傾向が30年以上続いています」と、楽天証券経済研究所・窪田真之は分析。外国人がなぜ日本株を購入しているのかについては以下の三つが大きな理由であると解説する。
1.脱コロナによるリオープンが期待できる点
コロナ禍からの回復が遅かった日本は、相対的に景況が良好です。新型コロナが5月8日に5類へ移行したことで、やっと消費回復が期待されるようになりました。外国人観光客が増加することによる、インバウンド消費の回復も期待されています。
2.米国景況が冷え込み、日本景況が良好に向かいつつある点
先週発表になった5月の米CPI(消費者物価指数)から、米インフレが依然深刻な状況にあることが分かりました。また、5月の米ISM景況指数から米国の景況が冷え込んだ状況が続いていることも分かりました。加えて、米国金融機関の破綻が相次ぎ、金融不振がいまだぬぐえない点などから、米国株に懸念が残っている状態です。
一方で、日本のインフレ率は、上昇してきていますが、米国ほど深刻ではありません。値上げは消費者にとっては痛い現象ですが、企業業績・株価にとってはプラスとなります。
上記の理由を受け、外国人投資家は4月以降日本株を約7兆以上買い越しました(株式現物と日経平均先物・TOPIX先物の合計)。
現在、地方銀行の財務悪化や利上げ懸念などで米国株を購入する意欲が減退している中、相対的にファンダメンタルズが良好な日本株を選好している面があります。
3.東京証券取引所のPBR1割れ銘柄への是正要求
東京証券取引所は、PBR(株価純資産倍率。株価の割高・割安を判断する投資尺度の一つ)が1倍以下の企業に対し、改善策を要請しました。
PBRとは、株価を1株あたり純資産で割った指標です。1株あたり純資産は、企業が解散した場合に、全株主に分配される資産のこと(解散にかかるコストを勘案しないベース)。PBRが1倍未満というのは、企業の解散価値よりも安い値段で株価が買える状態です。自己資本利益率(ROE:企業が稼ぐ力を示す指標)が低かったり、企業の収益基盤が不安定で成長期待が持てなかったりする場合、PBRは1倍を割ってしまいます。
PBR1倍を下回る日本企業が多いため、東京証券取引所は改善案の提示を要請、日本企業はそれを受けて、*自社株買いや、コスト削減、収益向上など、経営健全化や利益向上のさまざまな施策に打って出る企業が増え、日本企業(日本株)の価値が向上、買いが集まるという状況が起こっています。
*自社株買い…企業が自ら発行した株を買い戻すこと。市場に出回る株式総数が減るため1株あたりの純利益(EPS)が増加する。
個人投資家はこの急騰を予測していたか?
日経平均急上昇に伴い、5名の日本株投資家へ、具体的にどのような行動をとったのか、取材を行った。回答していただいた5名の投資家のうち、今期の日経平均急上昇を「何か違う」と予測していた投資家は、デイトレーダーのRょーへーさん。彼は毎朝8時35分から10分間の予習ライブ配信、15時から20分間の相場振り返りと翌日のデイトレ用注目銘柄のライブ配信を、YouTubeにて配信しており、日々の値動きには神経を研ぎ澄ませている。そのため、ライブ配信内では「なんかおかしい、不自然に強い…」と警鐘を鳴らし、600人以上のライブ視聴者へ「レンジの上限を抜けていくシナリオがあるかもしれない」と、訴え続けた。
一方で、DUKE。さん、DAIBOUCHOUさん、JACKさんなどの大物投資家は、「予兆ナシ」と回答。彼らのような実力派投資家でも、今回の急激な上げは予想外だったようだ。
ただ、彼らがこの波に乗り遅れたか、というとそうではない。DUKE。さんは複数銘柄の上げ始めを的確にとらえて波に乗り、1億超えの含み益&利益確定。DAIBOUCHOUさんもコツコツと狙った銘柄を買い増しし、合計400万以上の含み益を得ている。JACKさんは、日経平均上昇に惑わされず、脱コロナ銘柄をしっかりと押さえて70万円の含み益をゲット。つまり、「上げ始めてから乗っても十分に勝てる」ということを証明した。
一方で、日経平均が上がったら上昇する「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型」(1570)、と日経平均が上がったら下落する「NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型」(1357)という対照的な二つのETF(上場投資信託)に絞り、差分でコツコツと稼ぐスタイルの前畑うしろさんは「ただいま、日経平均下落に向かって仕込み中」といったところ。このまま上がり続けるわけはない、と日経平均が再び下がるまでは(1357)を売らずにぐっと我慢して保有中だ。
今回の急騰劇で、5名の投資家が体現しているのは「急騰につられて慌てないこと」。市況だけでなく企業情報や銘柄状況をロングスパンでしっかりと把握し、買うべきときに買うべき銘柄を買っている。今回の急騰は、長く投資をするうえでは「瞬間風速」にすぎないという、どっしり構えた投資スタイルが共通点と言えるだろう。
上げ相場で波に乗る5カ条
1.株を買う前に「買う理由」「目標株価」「売る価格」を決めておき、決めた通りに動く。
2.指標の表面的な数字に踊らされず、企業業績やIR情報で本当の価値を確認する
3.考えすぎると売れなくなるので、初心者はマメに利益確定する
4.過去チャートをチェックし、類似の投資環境で上げ下げしている銘柄をチェックする
5.下げタイミングで逃げ遅れないよう、市場から目を離さないこと
来るべき下げ相場を乗り切る5カ条
1.事前に決めた「売り方針」をブレずに貫く
2.購入資金をプールしておき、下落したら買いたくなるくらいの確信銘柄を購入する
3.自信がない人は、相場を楽しむ気持ちで少額投資する
4.「退場」が本当の負け。潔く損切りして、次につながる経験値に変える
5.大きな下落の後には必ずチャンスが来る。焦らず急がずチャンスを待とう!
個人投資家の上げ相場トレードレポートを読む!
![]() DAIBOUCHOUさん 下がったタイミングで中堅企業を買い増し、含み益増益中 5年半で、元手200万円を10億円にした個人投資家。ライブドアショック後、破産寸前まで追い込まれ、投資手法を見直してカムバック |
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企画/構成/取材/執筆:金井雪子












































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