2023年1-3月期決算はサプライズ、国内旅行市場の急回復で「コロナ前」超え

現地コード 銘柄名
09961

携程集団

(トリップ・ドットコム)

株価 情報種類

282.40HKD
(6/9現在)

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 世界最大のオンライン旅行プラットフォーム、トリップ・ドットコムの2023年1-3月期決算は市場の予想以上に力強い内容だった。売上高は前年同期比124%増の92億元と、コロナ前の2019年同期の実績と市場の予想をともに13%上回る水準。さらに、強力な営業レバレッジ効果や顧客対応などの自動化に伴うコストダウンを反映し、非GAAPの営業利益率もコロナ前を上回るポジティブサプライズとなった。BOCIは国内需要を取り込み、業界全体をアウトパフォームするための包括的な事業戦略を理由に、続く4-6月期もこの勢いが続くとみる。半面、市場競争の激化と国内の消費の萎縮を懸念材料としながらも、アナリストらによる利益見通しの上方修正がこうした懸念を和らげると予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 2023年1-3月の売上高はコロナ前の実績と市場予想を上回ったが、これはコロナ禍で堆積した潜在需要の放出によるもの。主要3部門全てが3桁の増収を達成した。さらにサプライズとなったのは、営業利益率(非GAAP)がコロナ前を上回る28.5%を記録したこと。純利益(非GAAP)も21億元に達した。BOCIは利益率の向上を背景に、市場の予想を上回ったとみている。

 続く4-6月期には成長率がやや減速しながらも、好調を維持する見込み。メーデー5連休(4月29日-5月3日)の同社の国内ホテル予約は2019年同期実績を70%上回り、業界平均をアウトパフォームしたとみられる。また、4-6月期の営業利益率(非GAAP)もコロナ前を上回る見通し。BOCIはChatGPT型AIの利用による自動化と人員削減などの効率化により、2023年12月通期の利益率も高水準を維持すると予想している。

 この先一段の業績拡大を支えるとみられるのは、海外旅行需要の回復。2023年上期の好調を受けた市場競争の激化が予想される中、価格競争を避けるためには、アウトバウンドの復調を受けた差別化が重要性を増す見通しという。現時点ではまだ、中国の航空輸送能力は限定的であり、海外旅行ビジネスが完全に回復するのは2024年となる見込み。この点は投資家の懸念材料となる可能性があるものの、2023年上期の予想以上の好業績や商品提供面の力強い履行が、懸念を払拭(ふっしょく)する可能性が高いとしている。

 BOCIは2023-25年の予想EPS(1株当たり利益:非GAAP)を25%、20%、13%増額修正。SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく同社米株(ADR)の目標株価を引き上げ、同時にH株の目標株価を上方修正した。新たな目標株価は2023年、2024年の予想PER(株価収益率:非GAAP)で31倍、23倍の水準となる。

 一方、レーティング面の潜在リスク要因として、BOCIは旅行市場、特にアウトバウンドの回復が鈍いペースとなる可能性、海外旅行関連の規制強化の可能性、オンライン旅行業界での競争激化、市場シェアを維持するためのコスト増などの可能性を挙げている。