PBR1倍割れは「上場失格」「社長失格」!?

 日経平均株価が急騰している。マーケットエッセンシャル主筆の前田昌孝は、【株高の理由がいろいろ語られているが、経営者がダメだったり、高給だが働きの悪い中高年社員を多く抱えたりしている企業を外資に買収してもらうという官僚主導の政策が背景にありそうだ。

 経産省も外資が動きやすいようにいろいろお膳立てをしている感じだ。東証の措置を受けてPBR1倍割れは「上場失格」「社長失格」と広く報道されるようになり、レッテル貼りに使われそうな勢いです】とツイートしたが、要は官僚のPBR(株価純資産倍率)1倍割れ撲滅という規制強化による官製相場である。

 ブルームバーグがエコノミスト47人を対象に1日から6日まで実施した調査によると、「YCCの起点となっているマイナス0.1%の短期金利について、年内の引き上げを見込むエコノミストは2人にとどまり、最多は2025年以降の20人で、24年第4四半期の5人がこれに続いた」という。

 日本銀行が金融政策を引き締め方向に修正するとの観測は、緩和継続の必要性を繰り返し表明している植田和男総裁のハト派的姿勢などを受けて一段と後ずれしているらしい。

 資産インフレのリスクを無視して金融緩和を続ける植田日銀の奇異な金融政策は、市場の「差異」を狙う投機筋にとっては絶好の投機の機会を提供している。世界中の中央銀行がインフレファイトしている中で、日銀だけが金融緩和をいつまでも続けているのだ。

 ブローカーの話では、植田日銀による政策変更を予測していた投機筋も、短期的に日本株のバブルに便乗する作戦に切り替えたという。

 世界で唯一マイナス金利を続けている日銀は「7月に小手先の変更をする」という見方があるものの、「年内は何もしない」という観測も多く、PBR1倍割れの規制強化という官僚の株高誘導と相まって、1980年代後半のような日本株のバブル環境が整っているのである。

日経平均CFD(日足)

メガトレンドフォローの売買シグナル(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 日銀の植田総裁は何もする気がないので、日米の10年国債金利の乖離(かいり)は「ワニの口」のように広がっている。日本のインフレ率は3.5%だが政策金利はマイナス0.1%なので、円安が進むのも当然といえば当然である。金利を上げない最大の理由は、岸田政権の解散・総選挙があるまでは動けないということらしい。選挙の後に利上げと増税が待っているのであろうか?

米国10年国債金利と日本10年国債金利の推移(週足)

出所:トレーディングビュー

ドル/円(日足)

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ドル/円(週足)

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