2023年度に苦戦も今期の業績回復に自信、在庫健全化で利益率上昇へ

現地コード 銘柄名
06110

滔搏国際控股

(トップスポーツ・インターナショナル)

株価 情報種類

6.90HKD
(5/25現在)

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 ナイキやアディダスなどの有力ブランドを扱う中国のスポーツウエア販売最大手、滔搏国際の2023年度下期(2022年9月-2023年2月期)の純利益は前年同期比32%減の6億9,100万元と、BOCIの予想を25%下回った。在庫の適正化に向けた小売りレベルでの値引き率が大きく、粗利益率が予想を4.3ポイント下回ったことが、税額の縮小という恩恵を一部打ち消した。下期の売上高はパンデミックの影響で15%減の138億元と、BOCIの予想通りの水準。期末配当は1株当たり0.05元、特別配当は0.15元の予定で、2023年2月通期の配当性向は111%(前年実績は109%)となる。経営陣はコロナ後の売れ行きの回復を理由に2024年度の業績を楽観。BOCIは株価の先行きに強気見通しを継続している。

 2023年3-4月には前年同期実績の低さもあって、売上高が2桁増を回復。小売価格の値引き率も縮小した。経営陣は3月-4月の売上高が2019年同期の80-85%程度にとどまり、コロナ前の実績には届かなかったとしながらも、2024年度の業績を楽観している。コロナ後のオフライン活動の回復や国際ブランドを取り巻く圧力の緩和が理由という。BOCIは在庫構造の健全化と主力ブランド各社との緊密な関係により、2024年度には粗利益率が上向くと予想。さらに営業レバレッジ効果で、営業利益率も改善する見通しを示した。経営陣は店舗と労働両面の生産性の向上に向け、引き続き店舗構成の最適化を目指す方針。大型店舗の比重を拡大する見通しという。

 年度第4四半期(2022年12月-2023年2月)の下げ止まりで、下期の売上高は前年同期比15%の減少率となった。コロナ禍で屋外活動に制約が生じる中、オンライン販売が好調。自営店舗の通期売上高のうち、20%台前半をオンラインが占めた(前年は10%台半ばから後半)。在庫処分と小売価格の値下げで、年度下期の粗利益率は37.9%と、前年同期比で4.4ポイント、上期比で7.7ポイントそれぞれ低下。在庫回転日数は年度末に149.5日と、上期末比で18.1日縮小している。また、店舗構成の改善(上期と下期に各767、363店舗の純減)に伴う賃料と人件費の抑制で、下期の販管費の対売上高比率は前年同期比1.7ポイント低下。結果的に、営業利益率は6.1%と、同2.3ポイントの低下幅だった。通期の営業キャッシュフローは前年比23.5%減の43億5,000万元と、純利益の2.4倍相当(前年2.3倍)。ネットキャッシュは期末に21億元と、前年末の12億元から増加している。

 BOCIは2024-25年度の予想売上高を5%、6%、予想粗利益率を0.3、0.2ポイントそれぞれ下方修正。販売費見通しの引き下げにより一部相殺した上で、予想純利益を2%、1%減額修正した。2024年度予想PER(株価収益率)18倍をあてはめ、目標株価を2%引き下げた。一方、レーティング面の潜在リスク要因としては、コロナ後の回復ペースに関する不透明感や、取扱いブランド各社のDTC(直接販売)モデルへの移行に伴う共食いの可能性、主要株主による多額の割当増資の可能性、政策面の緊張などを挙げている。