日経平均、バブル後の高値を更新

 5月に入り、日本株の強さが光ります。日経平均株価は2021年9月に3万795円78銭のバブル後高値をつけて以降、上がったり下がったりを繰り返すボックスの動きに終始していましたが、5月19日に3万924円57銭まで上昇し、ボックスを上抜けてきました。

 TOPIX(東証株価指数)はこれよりも早い段階で2021年9月の高値を超えてきており、これで日経平均株価、TOPIXともバブル後の高値を更新したことになります。

 日経平均株価のチャートを見ると、2年ほど上がったり下がったりを繰り返していましたので、ボックス上抜けにより、さらなる上昇も期待したいところです。

株価上昇の原動力は誰の買いによるものなのか?

 横ばいが続いていた日本株が一気に軽々と3万円超え、そしてバブル後高値更新となったことに筆者も驚いていますが、この株価上昇の原動力は誰の買いによるものなのでしょうか?

 東京証券取引所が発表している投資部門別売買状況によれば、4月以降外国人投資家は日本株を継続して買い越しています。4月第1週以降の6週間での買い越し額はおよそ2兆9,000億円に達しています。

 一方、個人投資家はこの間に日本株を1兆2,000億円近く売り越しています。

 日本株が大きく上昇するときは、ほぼ「外国人投資家の大量買い、個人投資家の大量売り」のパターンになります。思えば2013年前半のアベノミクス相場初期は、怒涛(どとう)の外国人投資家の買いによって株価の大きな上昇がもたらされました。

 主な投資家のうち、上値を買い上がる「順張り」を行うのは外国人投資家だけです。個人投資家は逆張りを行うため、外国人投資家が日本株を大量に買ってくれないと日本株は大きく上がらない、というのが昨今の傾向です。

筆者が今回の株価上昇に全力投球できない理由

 ただ、筆者の日本株のポジションはそれほど大きくありません。今のところ、ピーク時に比べると3分の1程度にとどまっています。

 通常、日経平均が高値更新の動きともなれば、上昇トレンドにあることを示しますから、そこからのさらなる株価上昇に期待して買いポジションを膨らませ、全力投球に近い形で対応します。

 しかし、前回のコラムでも書いたように、今回の日本株の上昇は日経平均株価やTOPIXといった株価指数が中心で、個別銘柄が全面高とはなっていません。

 現に、5月19日時点では全体の4割以上の銘柄が25日移動平均線を割り込んでいます。残り約6割の銘柄も、明確な上昇トレンドとはなっていないものも多く、筆者の感覚では、日経平均株価やTOPIXと同じような、きれいな上昇トレンドとなっている個別銘柄は全体の3~4割ほどにとどまっています。

 個別銘柄が全面高となっていない理由は、おそらく今回の外国人投資家の買いが先物主導だからです。日経平均先物が買われると、日経平均株価に採用されている個別銘柄も同じように買われますが、日経平均に採用されていない銘柄には資金が入ってこないため株価が上昇しない、という状況です。

 もし外国人投資家が本腰を入れて日本株を買うのであれば、個別銘柄もまんべんなく買ってくるだろうと筆者は思っていて、そうなれば全面高に近い形になるはずです。

 現状そうなっていないということは、今回の外国人投資家の買いが、比較的短期間の上昇を狙ったものである可能性が高いのでは、と考えています。

 それに加え、米国を始め、インフレに伴う金融引き締めの株価へのマイナス効果も懸念されますので、全力で日本株を買っていく、というようにはならなかったのです。

どこまで上がるかは分からない→自分自身でのルール設定と順守を徹底しよう

 では、日本株はどこまで上昇するのでしょうか? これについては正直誰にも分かりません。日経平均株価は2年間のボックス相場の上限を超えてきましたので、波動的にはまだ上がある形ですが、過去には直近の高値を超えたあと、そこから伸びずに二番天井をつけてしまったケースもあります。

 であれば、「株価がどこまで上がるか?」ではなく、「上がっている間はついていく」「下がったら損失が大きくならないようにしっかり撤退する」という意識を持った上で、ご自身でのルール設定とその順守を徹底するようにしましょう。

 日本株は金融緩和継続や、アフターコロナによる景気回復、好調な企業業績などに支えられて株価が上昇している半面、米国などでは今も続くインフレと金融引き締めにより、今後いつ株価の大規模な調整が生じてもおかしくありません。そうなれば日本株も大きく下がることになるでしょう。

 このように、株価の上昇要因と下落要因が混在しているときは、上がっても下がってもおかしくない、ということになりますから、なおさら株価がどう動いても対応できるようなルール設定が必要です。

今後の投資戦略:新規買いには慎重に

 これはあくまでも筆者の見解ですが、現段階で安値からはかなり上昇していますから、今からの新規買いは慎重になった方が無難だと思います。押し目を待つなりして、日経平均株価と25日移動平均線との乖離(かいり)が小さくなったら買う方がよいでしょう。

 一方、すでに保有している銘柄については上昇トレンドが続く限り保有しつつ、株価が急騰して25日移動平均線との乖離が大きくなったら早期の利食いも検討します。

 そして株価が下降トレンドに転じたら利食いないし損切りをしっかり行い、そこから株価が大きく下落しても大きな損失を被らないようにします。

 今回の株価上昇は筆者も多少面食らった感もありますが、今後の株価を予想することなく、こうなるはずと決めつけることなく、淡々とルールに従って行動していきたいと思っています。

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