内需の勢い後退で4月の主要統計が軒並み減速、金融・財政両面のテコ入れに期待

 中国経済の回復の勢いが4月に明らかに後退し、消費や投資などの主要指標が軒並み市場コンセンサス予想を下回った。サービス業の復調が内需の回復を支えたとはいえ、不動産投資の低迷が続く中で、固定資産投資の伸びが減速。消費指標の小売売上高は前年同月比18.4%増加したものの、これは上海市がロックダウン下にあった前年同期実績(同11.4%減)の極端な低さが主因であり、実質的には低成長にとどまった。また、鉱工業生産はさらに低調で、前年同月実績(同2.0%減)が異例の低さだったにもかかわらず、4月にはわずか5.6%増と、市場予想を明らかに下回る水準(前月比では0.5%減)。過去2年間の年率平均を見ても、3月の4.4%増から1.3%増へ一段と減速している。

 まず固定資産投資は4月に前年同月比3.8%増と、3月の4.7%増から減速した。インフラ投資、製造業投資は引き続き投資指標全体をけん引したが、いずれも減速。うちインフラ投資は4月に7.9%増(3月は9.9%増)、過去2年の年率平均では6.1%増(3月は10.8%増)となり、特別債発行を通じた地方政府の資金調達額は前年同期をやや下回る水準だった。中央政府は再び、地方当局の過剰債務リスクを重視し始めており、インフラ投資は下期も段階的に減速する可能性が高まっている。一方、不動産開発投資は4月に7.2%減少し、3月の5.9%減から再び下げ幅を広げた。

 不動産の売れ行きは4月に大きく改善し、販売面積と販売額がそれぞれ前年同月比4.6%増、26%増(3月はそれぞれ横ばい、8.7%増)。一見、不動産投資の不調と逆行する形となったが、これも前年実績の低さが一因。過去2年の年率平均を見ると、販売面積は20%減。3月の9.3%減からさらに悪化する結果となった。

 一方、小売売上高は4月に前年同月比18.4%増と、3月の10.6%増から加速したが、これは前年実績の低さによるもので、過去2年の年率平均では2.6%増と、3月の3.3%増から鈍化した。飲食収入の伸びが年率平均5.4%に上向く半面、商品小売額の伸びが2.3%に減速。品目別では家電、家具、建材、通信機器、文化・事務用品、化粧品、日用品、自動車が年率平均でマイナス成長となり、消費マインドの回復がまだ途上にあることをうかがわせた。

 雇用指標を見ると、4月の失業率(都市部調査失業率)は5.2%。コロナ禍で打撃を受けたサービス業の復調で、前月の5.3%からやや改善したが、構造的な矛盾は依然深刻。若年層(18-24歳)の失業率は4月に20.4%と、前月の19.6%から一段と上昇し、現在の形で統計が始まった2018年以来、最悪の水準を記録している。

 BOCIは4月の指標を受け、内需回復の勢いの後退と海外需要の下振れリスクに言及し、中国経済の回復基盤は依然脆弱(ぜいじゃく)だと指摘。今後の回復見通しも明確ではないとし、内需の底上げに向けた金融・財政両面からのテコ入れ策が必須との認識を明らかにしている。