米国高配当株5:バンク・オブ・アメリカ(BAC)

 米国第二位の銀行で、世界35カ国以上で事業を展開しています。

 8年連続で150億ドル以上の純利益を計上し、2023年3月末時点の総資産が3兆2,000億ドルと、JPモルガン・チェースの3兆7,000億ドルに次ぐ巨大金融機関です。リーマンショック後には窮地のメリルリンチを買収し、その後、さらに規模を拡大させてきました。

 時価総額は2,160億ドルで、日本円で約29兆4,000億円となっています(1USD=136円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「グローバルマーケット事業(Global Markets)」で、続いて「グローバルウェルス&投資運用事業(Global Wealth&Investment Management)」、「グローバルバンキング事業(Global Banking)」、「コンシューマーバンキング事業(Consumer Banking)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「グローバルマーケット事業」では機関投資家に対し、債券、クレジット、投資信託などのセールス、トレーディング、リサーチサービスを提供しており、「グローバルウェルス&投資運用事業」ではメリルリンチ・ウェルス・マネジメントとバンク・オブ・アメリカ・プライベート・バンクを軸に富裕層向けサービスを提供しています。

競合他社

 競合他社として、四つのセグメントを通じて業務を展開する金融持株会社であるJPモルガン・チェース(JPM)、カナダを拠点とする多角的金融サービス会社であるRBC(RY)、多様な銀行、投資、住宅ローンの商品とサービス、消費者金融、商業金融を州、コロンビア特別区、および米国以外の国の個人、企業、機関に提供するウェルズ・ファーゴ(WFC)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移しており、配当は2021年から増配しています。

 3月以降、クレディ・スイスがUBSに救済合併され、シグネチャー銀行、シリコンバレー銀行、ファースト・リパブリック銀行などの問題などでマーケットが変動し、バンク・オブ・アメリカの株価も下落しました。

 しかし、規模としてはG-SIBの一角であり、このような危機の際に買収を行って業績を拡大してきたことから、今回のマーケット変動を経てさらに成長することが期待されます。

 また、直近2%台だった利回りが3%台となっている現在の株価は、配当を目的とするのに良い水準ではないでしょうか。

業績動向

 2023年4月18日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 金利上昇により純金利収入が増加したほか、債券トレーディングが好調だったこともあり、市場予想を上回る内容となりました。会社側も景気後退が迫っているという懸念はあるものの、雇用や賃金が堅調に推移していることから、消費支出は依然として堅調であると発表しており、今後も底堅い業績が期待されます。

 次回2023年7月18日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるかどうかに注目です。

注意点

 米国地方銀行の問題が、大手銀行にもなんらかの形で大きく影響を及ぼすようなことがあった際には、業績に影響が出る可能性があり注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.88ドル
配当利回り:3.24%
株価:27.09ドル(約3,700円)

 この銘柄の、権利落ち日は6月1日(権利実施は6月30日)です。

 配当利回りは515日時点で3.24%、株価は27.09ドルでおよそ3,700円から購入できます(1USD=136円計算)。

 2020年からの最高値は49.38ドル、最安値は18.08ドルとなっています(終値ベース)。

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