米国高配当株3:オビンティブ(OVV)

 北米の大手石油・天然ガス探査・生産会社で、米国とカナダに所在する、可採埋蔵量トップクラスの石油・天然ガスの複数鉱区開発に重点を置いています。

 米国のパーミアンとアナダルコ盆地の中心部、およびカナダのモントニーにおける大規模複数盆地を有しています。これらが背景となり好調な財務・営業成績を支え、高収益の液体開発、適度な成長、フリーキャッシュ創出、株主へのキャッシュ還元を実現しています。

 時価総額は81億ドルで、日本円で約1兆1,000億円となっています(1USD=136円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「米国事業(USA Operations)」で、続いて「市場コスト適正化事業(Market Optimization)」、「カナダ事業(Canadian Operations)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「米国事業」には、米国内における石油、天然ガス、天然ガスの探鉱、開発、生産、およびその他の関連事業が含まれています。「市場コスト適正化事業」では、輸送契約、製品の種類、配送先、顧客の多様化など、運用の柔軟性とコスト削減を実現するための第三者による製品の購入・販売を行っています。

競合他社

 競合他社として、独立したエネルギー会社であり、天然ガス、原油および天然ガス液(NGL)の調査・開発・生産を行うアパッチ(APA)、独立系エネルギー会社で、米国において、石油・天然ガスシェールその他の非在来型プレーに重点を置いた石油・天然ガス資源の探鉱・開発・生産・買収を行うマタドール・リソーシズ(MTDR)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初から下落して推移しており、配当は今回から増配を予定しています。

 自社株買いを行っており、売上も増加していますが、インフレによる輸送・加工費などのコスト増や設備投資によって利益率が低下したことで、株価も下落しています。

 会社側は、2023年はさらに設備投資額を増やすことを予定していますが、これは利益率の高いNGLからのリターンを増やすことを目的としています。また2023年には、資本的支出を上回る多額のキャッシュ・フローを生み出すことが期待されると発表しており、今後の株価回復が期待されます。 

業績動向

 2023年5月9日開示の四半期決算では、1株利益、売上ともに市場予想を上回りました。

 好調な油井実績とコスト効率化の組み合わせが、好調な業績につながりました。しかし、石油、天然ガスともに平均販売価格は上昇しているものの、その上昇以上にインフレによるコストが増加しています。

 生産量は、おおむね会社の予想範囲内で推移しており、今後オビンティブの取り組む湿式砂調達モデルや効率性の向上と効果的なサプライチェーン管理によって、コストを抑えて業績をさらに改善させることができるかどうかに注目です。

 次回は2023年7月25日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるかどうかに注目です。

注意点

 会社側も発表していますが、石油・天然ガス業界は競争が激化しています。このような競争はコストを大幅に増加させ、設備、リースおよびその他の物件を取得する際に、大企業相手に競り負ける可能性があり、その結果、コストの上昇につながる可能性があるとしています。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.20ドル
配当利回り:3.64%
株価:32.88ドル(約4,500円)

 この銘柄、権利落ち日は6月14日です(権利実施は6月30日の予定)。

 配当利回りは515日時点で3.64%、株価は32.88ドルでおよそ4,500円から購入できます(1USD=136円計算)。

 2020年からの最高値は61.96ドル、最安値は2.22ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:テレフォニカ(TEF)

 1924年4月19日に、スペインのマドリッドで設立された、欧州と中南米に拠点を置く電気通信サービスプロバイダーです。

 現在Telefonica Group は 12 カ国に存在し、Telefónica Empresas、Movistar Empresas、Vivo Empresas、O2 Business などのブランドを通じて現地でサービスを提供しており、中小企業向けではサイバーセキュリティ、クラウド、ビッグデータ、人工知能、およびブロックチェーンサービスを、個人向けではモバイル通信、テレビ番組、映画、ホームセキュリティサービスなどを提供しています。

 時価総額は244億ドルで、日本円で約3兆3,200億円となっています(1USD=136円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「スペイン事業(Telefónica Spain)」で、続いて「ヒスパニック事業(Telefónica Hispam)」、「ブラジル事業(Telefónica Brazil」、「ドイツ事業(Telefónica Germany)」、「その他事業(Other companies)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「スペイン事業」、「ヒスパニック事業」、「ブラジル事業」、「ドイツ事業」の各地域において、固定回線、ブロードバンド、モバイルアクセス、有料放送などのサービスを提供しています。

株式の注目ポイント

 株価は、年初から2割程度上昇して推移しており、配当は2021年以降横ばいで推移しています。

 また、株価は昨年の秋を底に、業績の改善に伴って徐々に回復してきています。欧州で下がったモバイル市場のシェアを、ブラジルでのシェア拡大によって一部相殺し、為替が追い風になるなどして、業績が少しずつ回復するに伴い、株価も上昇してきました。

 会社側は、2023年に各国で新たな周波数の割り当てが予定されているとしており、今後の業績拡大とそれに伴う株価上昇が期待されます。

業績動向

 2023年5月11日開示の四半期決算では、1株利益、売上ともに市場予想を上回りました。

 スペインでサービス収入が成長軌道に復帰し、OIBDA(減価償却前の営業利益)が改善したことや、ブラジルおよび中南米で最大級の携帯電話事業会社であるVivoが好調を維持したことで、業績が改善しています。

 また、人口が多い南米においてFTTHの普及が加速し、それに伴ってネットワーク品質が安定してきていることから、さらなるモバイル市場シェアの向上が期待されます。

 次回2023年7月27日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるかどうかに注目です。

注意点

 事業を多くの国々で展開しているため、それぞれの国の為替レートや政治的判断などによって規制がかかるなどの可能性があり、それによって業績に悪影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.23ドル
配当利回り:5.52%
株価:4.16ドル(約570円)

 この銘柄の、権利落ち日は6月13日(権利実施は7月5日)です。

 配当利回りは515日時点で5.52%、株価は4.16ドルでおよそ570円から購入できます(1USD=136円計算)。

 2020年からの最高値は7.09ドル、最安値は3.15ドルとなっています(終値ベース)。