米国高配当株1:WPP(WPP)

 英国を拠点とする世界最大のマーケティング・コミュニケーションズグループで、クライアント企業のクリエイティブ・トランスフォーメーション推進を支援しています。

 傘下の企業を通じて広告、マーケティング、ブランド戦略、キャンペーンなど、あらゆるメディアを活用したクリエイティブ・サービスを提供しており、広告市場1位の米国、2位の中国、3位の日本をはじめ、世界の主要国で事業を展開。GoogleやAmazon、P&G、ソニー、トヨタなどさまざまな顧客企業にサービスを提供しています。

 時価総額は121億ドルで、日本円で約1兆6,400億円となっています(1USD=136円換算)。   

事業の注目ポイント

 事業の中心は「国際総合代理店事業(Global Integrated Agencies)」で、続いて「メディア事業(Public Relations)」、「専門代理店事業(Specialist Agencies)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「国際総合代理店事業」では、広告、マーケティング、ブランド戦略、キャンペーンなど、あらゆるメディアでクリエイティブなサービスを展開し、メディア部門では世界有数のメディア投資会社であるGroupMとその代理店を中心に、メディアプランニングとバイイングのサービスを提供しています。

 また、「メディア事業」では消費者や投資家、政府やNGOなど、クライアントのステークホルダーとのコミュニケーションを支援しています。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を1割程度上回って推移しており、配当は2019年以降毎年増え続けています。

 コミュニケーション、カスタマーエクスペリエンス、コマース、データ、テクノロジーへの投資は、WPPのクライアントにとって優先事項だったため、世界経済が乱高下する間も、WPPのサービスに対する需要は旺盛でした。直近でもアドビ、フォード、マルチ・スズキなどの15億ドルの新規ビジネスを獲得しており、業績は好調です。

 また、WARCのクリエイティブ100、エフェクティブ100、メディア100の三つの部門でWPPがトップとなるなど、そのサービスが評価されていることもあり、株価は昨年秋ごろより回復しています。

 会社側も通期ガイダンスの達成に向けて順調に業績が推移しているとしており、今後も堅調な株価が予想されます。

業績動向

 2023年4月27日開示の四半期決算では、1株利益の市場予想はありませんが、売上は市場予想を上回りました。

 会社側も、新しいクライアントの獲得、新しいクリエイティブリーダーの採用、テクノロジープラットフォームへの投資を行うとともに、ヘルスケアとインフルエンサーマーケティングという成長分野で3社の買収を行うなど、自社サービスの強化を行ってきたことが好調な業績につながっていると発表しています。

 他社に比べた自社サービスの優位性を会社側も認識しており、今後も堅調な業績が予想されています。

 次回2023年8月4日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるかどうかに注目です。

注意点

 配当が年2回のため、米国株で多い「年4回配当」ではないことと、配当金が、6月権利落ちは多いのですが10月権利落ちは少なくなる点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.37ドル
配当利回り:4.24%
株価:55.89ドル(約7,600円)

 この銘柄の権利落ち日は6月8日(権利実施は7月7日)です。

 配当利回りは515日時点で4.24%、株価は55.89ドルでおよそ7,600円から購入できます(1USD=136円計算)。

 2020年からの最高値は82.99ドル、最安値は27.75ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:ナビエント(NAVI)

 テクノロジーを駆使した教育ファイナンスと業務処理ソリューションを提供しています。

 大学進学や学費の支払い、助成金や奨学金の検索、学資援助の提案の比較、FFELP Student Loansにおけるサービスなどを手掛けるとともに、連邦政府機関や州政府病院システム、医療センター向けにも業務処理ソリューションを提供しています。

 時価総額は約19億ドルで、日本円で約2,600億円となっています(1USD=136円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「消費者金融事業(CONSUMER LENDING)」で、続いて「政府教育ローン事業(FEDERAL EDUCATION LOANS)」、「ビジネスプロセス事業(BUSINESS PROCESSING)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「消費者金融事業」では、主に学生ローンサービスを提供しており、学生ローンの借り換えや、返済の簡素化、より低い金利で借入ができるためのデジタルツールを提供しています。

 また「政府教育ローン事業」では、連邦政府保証の連邦家庭教育ローンプログラムにおけるサービスを行っています。

競合他社

 競合他社として、米国内の一戸建て住宅に関連するサービス、オリジネーション、トランザクションベースのサービスを提供するミスター・クーパー・グループ(COOP)、オンライン金融サービスの提供に重点を置いたテクノロジーおよび分析会社であるエノバ・インターナショナル(ENVA)、主に信用技術サービスを提供する、中国を拠点とするチーフ・テクノロジー(QFIN)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移しており、配当は2015年以降横ばいで推移しています。

 年初から株価は下落しているものの、ビジネスモデルが安定していることから業績が堅調であり、それに伴って株価の変動もそこまで大きい銘柄ではありません。

 また、株主還元として自社株買いを行っており、2023年3月31日現在、5億1,500万ドルの自社株買い戻し権限を残していることも、株価の下支えとなっています。

 今後も堅調な業績が予想されており、それに伴って株価も安定的な値動きが期待されます。

業績動向

 2023年4月26日開示の四半期決算では、1株利益は市場予想を上回りましたが、売上は市場予想を下回りました。

 延滞率の低下や利ざやが改善していることから利益率は上昇し、ローン全体の総額が減少したことで売り上げは減少しています。全ての事業において通期見通し通り、または通期予想を上回って推移しており、業績は好調に推移しています。

 次回は2023年7月25日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるかどうかに注目です。

注意点

 金利変動を避けるためヘッジをかけていますが、それを上回る金利変動があった際には、業績に影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.64ドル
配当利回り:4.30%
株価:14.86ドル(約2,000円)

 この銘柄の、権利落ち日は6月上旬の予定(権利実施は6月中旬)です。

 配当利回りは515日時点で4.30%、株価は14.86ドルでおよそ2,000円から購入できます(1USD=136円計算)。

 2020年3月からの最高値は23.49ドル、最安値は5.00ドルとなっています(終値ベース)。