PERだけ見て、割安割高を判断することはできない

 PERだけ見て、割安・割高を判断するのは、適切ではありません。PERの問題をよく理解した上で、PERを見る必要があります。

 それを説明するために、まず、個別銘柄のPERを、具体例で見てみましょう。

<PERの低い銘柄群:2023年5月15日時点>

大分類 業種
分類
コード 銘柄名 PER:倍
金融 銀行 8306 三菱UFJFG 10.6
銀行 8316 三井住友FG 9.4
保険 8591 オリックス 8.5
資源関連 鉱業 1605 INPEX 6.4
商社 8031 三井物産 7.3
商社 8058 三菱商事 8.1
海運 9101 日本郵船 7.9
製造業 鉄鋼 5401 日本製鉄 7.1
自動車 7203 トヨタ自動車 10.2
自動車 7267 ホンダ 7.7
出所:PERは、2023年5月15日の株価を、今期会社予想1株当たり利益で割って計算。今期とはINPEXだけ2023年12月期、他は2024年3月期

<PERの高い銘柄群:2023年5月15日時点>

大分類 業種
分類
コード 銘柄名 PER:倍
情報通信サービス ネット販売 3064 MonotaRO 43.3
中古品流通 4385 メルカリ 51.7
ITシステム 4307 野村総合研究所 26.8
サービス 4661 オリエンタルランド 96.5
消費成長 製造小売 9983 ファーストリテイリング 40.8
食料品 2801 キッコーマン 34.8
バイオ 医薬品 4502 武田薬品 49.5
医薬品 4568 第一三共 78.0
EV関連 モーター 6594 ニデック 24.2
電子部品 6981 村田製作所 30.4
出所:PERは、2023年5月15日の株価を、今期会社予想1株当たり利益で割って計算。今期とはファストリは2023年8月期、MonotaRoは2023年12月期、他は2024年3月期

 上の表を見ると分かりますが、PERは、銘柄ごとにかなり開きがあります。トヨタ自動車のPERは、10.2倍です。東証プライム市場の平均PER(加重平均)が、約15倍であることを考えると、PERで見て、株価は割安と見えます。

 一方、東京ディズニーリゾートを運営する オリエンタルランド(4661) のPERは96.5倍です。東証プライムの平均と比較して、割高に見えます。

 ただし、PERを単純に比較して、割安割高を判断するのには問題があります。PERは、あくまでも、今期予想利益に対して、株価が何倍まで買われているか示しているだけです。