2023年1-3月期は事業縮小で採算性改善、持続的成長には不透明感も

現地コード 銘柄名
08083

中国有賛

(チャイナ・ヨウザン)

株価 情報種類

0.17HKD
(5/11現在)

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 ECの加盟店向けソリューションや決済サービスを手掛ける中国有賛は2022年に実施した大規模な事業縮小化が奏功し、2023年1-3月期に数年ぶりに損益分岐点に到達した。ただ、BOCIは市場競争の激化を指摘し、従業員数が前年同期比でほぼ半減する中、売上高、純利益のプラス成長を維持できるか疑問視している。また、PaaS (Platform as a Service:ネット経由でプラットフォームを提供するクラウドサービス)やAIなどの新規ビジネスが成果を挙げるまでには時間がかかると予想。目標株価を引き上げながらも、株価の先行きに対して中立見通しを継続している。

 1-3月期決算を見ると、売上高は前年同期比2%減の3億5,500万元。粗利益率は69.4%へ同8.6ポイント改善した。純損失は人員やサーバー経費などの削減により、800万元まで縮小。GMV(総流通額)は同2%増の230億元で、うち全体の48%を占める店舗向けのSaaS(Software as a Service)サービスが同26%の伸びだった。課金店舗数は12%減少したが、ARPU(加入者1人当たり月額収入)は6%増。一定水準以上のターゲット層に照準を合わせる同社方針を受け、新規契約価値が上昇した。

 同社は23年4月、PaaSおよびAI製品を投入した。うち「iPaaS」はERP(企業資源計画)、CRM(顧客関係管理)、POS(販売時点情報管理)やファイナンス、その他システムへの接続を通じた店舗のデジタル化を支援するサービス。すでに金蝶国際ソフト(00268)を含むベンダー38社のアプリケーションコネクターと統合した。AI製品の「Jarvis」はグラフィックプロモーションやキャンペーンプランニングをサポートするサービス。経営陣は現在の研究開発チームの陣容だけで十分、AI開発に対応できるとしている。

 1-3月期には一定レベルの採算性の確保とキャッシュフローの改善に成功したが、BOCIはその主因として、2022年に実施した大型の事業再編を挙げている。この再編では従業員数を1年前の3,800人から1,900人にほぼ半減させた。経営陣は2023年のGMVについて前年比10-15%増を見込むが、BOCIは加盟店舗の純増数が1-3月期に減速したこと(営業チームの縮小が響いた可能性がある)やマクロ経済の不透明感を受けたSaaS・ネットプラットフォーム市場での競争激化などを指摘。持続的な成長を担保できるか疑問視し、2023年、2024年の予想GMVを18%、27%下方修正した。

 BOCIは2022年の事業縮小化とコスト構造の改善を反映させる形で、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく目標株価を引き上げながらも、株価の先行きに対して中立見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、同社がテンセント(00700)のプラットフォームに過度に依存しているにもかかわらず、そのテンセントが競合と化す可能性や、EC SaaSテクノロジーの進化、市場競争の激化の可能性、さらに収益性が低くキャッシュフローがマイナスであるための流動性リスクなどを挙げている。