インド株式復調の背景にある高い成長期待

 そもそもインドには潜在的に高い経済成長が見込まれています。その背景に中国を追い抜く人口の増勢が挙げられます。UNFPA(国連人口基金)は4月19日、インドの人口が2023年半ばに14億2,860万人となり、中国の14億2,570万人を超えて世界最多となるとの予想を公表しました。インドの総人口は2060年代に17億人程度まで増える見通しです。

 総人口の増加と生産年齢人口(15歳以上64歳以下の人口)の増加は、経済の潜在成長率の上昇に寄与します(「人口ボーナス」と呼ばれる局面)。

 実際、2022年におけるインドの名目GDP(国内総生産)規模は旧宗主国の英国を抜いて世界5位となっていますが、2027年にはドイツ、日本を抜き、米国と中国に次ぐ「GDP世界3位」に浮上するとの見通しが有力です(IMF)。今後の世界経済の「成長ドライバー」が中国からインドへと移るとの見方も強くなっています。

<図表2>インドの成長率予想は相対的に高い

出所)IMFの最新経済見通しより楽天証券経済研究所作成(2023年4月)

 インド株式に堅調が見込める要因として、経済成長期待が相対的に高いことが挙げられます。IMF(国際通貨基金)が4月に公表した最新の世界経済見通し(図表2)によると、インドの実質GDP成長率は2022年の+6.8%に続き、2023年は+5.9%、2024年は+6.3%と高い水準が見込まれています(World Economic Outlook of April 2023)。

 コロナ禍からの回復に加え、労働人口増加、平均所得(収入)増加、個人消費拡大、インフラ整備に伴う外資企業の進出増加、生産性改善という好循環をエンジンとする高成長が期待されています。

 インドのモディ首相は昨年8月、「25年後までに(英国からの独立後100年となる2047年までに)先進国入りを目指す」と表明しました。同首相は、「インドは世界の製造業の拠点に成長しつつある」と述べ、デジタル化や若者・女性の労働参加を促すことで、ものづくり国家を目指す「メイク・イン・インディア」構想を推進していく方針をあらためて強調しました。