コロナ禍からの脱却で小売販売額が1桁増を回復、4-6月期はさらに加速へ

現地コード 銘柄名
02020

安踏体育用品

(アンタ・スポーツ・プロダクツ)

株価 情報種類

112.90HKD
(4/13現在)

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 中国のスポーツ用品大手、安踏体育用品の業務統計によると、「安踏(ANTA)」ブランド、「FILA」ブランドの2023年1-3月期の小売販売額はそれぞれ前年同期比1桁台半ば、1桁台後半の伸びを示し、ほぼBOCIの予想通りの水準に達した。経営陣は旗艦の「安踏」ブランドが短期的な逆風に直面する半面、「FILA」の小売販売額が3月に加速したと報告。前年同期実績が低い4-6月期には成長ペースがさらに加速する見通しを示した。また、2023年通期では、「安踏」「FILA」の小売販売額がともに前年比2桁増を達成するとの自信を見せている。BOCIは営業レバレッジ面のプラス効果やDTC(消費者向け直接販売)改革の成果、新規ブランドの利幅改善を理由に2023年にはグループ全体の利益率も上向くとの見方。同社の株価の先行きに強気見通しを継続した。

「安踏」ブランドの小売販売額は2023年1-3月期に前年同期比1桁台半ばの伸び。北京冬季五輪効果で前年同期実績が高かったが、前四半期の1桁台の減少から持ち直した。比較対照値の高いオンライン販売が縮小する一方、ゼロコロナ政策の廃止に伴い、実店舗の客足が回復したことが寄与した形。成人用、子供用ラインの小売販売額がそれぞれ1桁台の後半、中盤の伸びだった。販路上にある流通在庫は5カ月弱と、前四半期の6カ月弱から改善し、同時に値引き率も安定したという。経営陣が示唆したところでは、「安踏」ブランドの小売販売額は4月に入ってからもプラス成長を維持している。

 一方、「FILA」ブランドの小売販売額は1-3月期に前年同期比1桁台後半の伸び。前四半期の10%台前半の減少から目立って改善した。1-2月に1桁台だった増加率は3月に2桁台に乗せており、前年実績の低い4-6月期にはさらに加速する可能性が高い。1-3月期にはストリーミングプラットフォームでの販売好調や比較対照値の低さから、オンライン販売が40%増。ライン別では、「FILA Classic」の小売販売額が10%余り増加し、「FILA Kids」や「FILA Fusion」を上回った。流通在庫は5カ月弱と、前四半期の7カ月弱から目立って改善。その結果、小売りレベルの値引き率は前年同期比、前期比でいずれも縮小した。経営陣は売れ行きの回復によるプラスの営業レバレッジ効果を理由に、「FILA」の利益率がこの先拡大するとみている。

 それ以外の新規の取り扱いブランドを見ると、1-3月の小売販売額は前年同期比75-80%増と、前四半期の10%台前半から急加速した。「デサント」と韓国「KOLON」が各70%増、100%増。これとは別に、「アメアスポーツ」も力強い伸びを示したという。

 BOCIは2023-25年の利益見通しを維持し、2023年予想PER(株価収益率)35倍をベースとする目標株価を据え置いた。潜在リスク要因としては、「安踏」のDTC改革の失敗、「FILA」の業績悪化、新規事業の発展が遅れる可能性、さらにマクロ経済と消費者信頼感の低迷により、コロナ後の回復が予想以上に鈍くなる可能性を挙げている。