主力部門SharkNinjaのスピンオフ計画を注視、一時的な配当停止で失望感も

現地コード 銘柄名
01691

JS環球生活

(JSグローバル・ライフスタイル)

株価 情報種類

7.84HKD
(4/4現在)

 株価
 企業情報
 チャート

 中国の小型家電大手、JS環球生活の2022年通期決算は、米中対立などの影響で市場予想を下回った。BOCIは米国での主力部門SharkNinja(フロアケア製品、スチームクリーニング製品、小型キッチン家電などの製造販売)のスピンオフ計画に伴う配当の停止が市場の失望を招く可能性があるとの見方。4月後半から5月にもスピンオフの詳細が発表されるまでの間、投資家は様子見姿勢を続けるとみている。ただ、ファンダメンタルズ面ではさほどの逆風下にはなく、2023年下期には明確な業績回復が期待できるとの見方。現在の低バリュエーションを理由に株価の先行きに強気見通しを継続した。

 2022年通期の純利益は前年比21%減の3億3,200万米ドルと、BOCIの予想を7%下回った。特定項目を除く調整後純利益は同15%減の3億9,380万米ドルと、同社の事前のガイダンスと一致した。特定項目のうち一部は通常の会計上の項目に当たるが、BOCIは中核部門SharkNinjaのスピンオフ(分離上場)を提案したタイミングで、3,400万米ドルの「一過性ボーナス」を計上した点については、市場が懸念する恐れがあると指摘している。同社はスピンオフが完了した時点で復配を目指すとしているものの、配当を停止すること自体、マイナス材料となる可能性があるという。

 一方、市場が注目しているのはSharkNinjaのスピンオフに関する提案。決算発表後のカンファレンスコールでは開示されなかった計画の詳細がカギになるとみられ、4月下旬から5月に発表されるまでの間は、特に「ストックコネクト」(本土と香港の相互株式取引制度)を利用している本土の投資家が様子見に回るとみる。

 ファンダメンタル面では、2022年10-12月の売上高は前四半期より弱かったが、これは米国での小売環境の悪化によるもので、経営陣は2023年に関して2桁増収との目標を掲げる。ただ、BOCIはこの目標の達成はマクロ経済環境次第との見解。米中両国の小売市場の明確な回復時期は下期になるとみて、通期で1桁台半ばの増収を予想している。また、3,400万米ドルのボーナス費用が再び発生しないとの前提の下、営業利益については前年比17%増を見込む。一方、ベンチマーク金利の上昇に伴い、2022年末時点で8億5,700万米ドルの負債を抱える同社の金融費用は2023年に膨らむ見通し。経営陣は負債コストの低減に向けた方法を検討しているという。

 BOCIは2023-24年の予想EPS(1株当たり利益)を10%、6%減額修正した。主にSharkNinjaのスピンオフに絡む販管費の増大が理由。2023年予想PER(株価収益率)で9倍をベースに目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに強気見通しを継続した。レーティング面の潜在リスク要因としては、サプライチェーンの混乱の継続や同業他社の販促強化を受けた粗利益率の低下、インフレによる個人消費の伸び悩み、のれん代減損など予想外の費用計上、SharkNinjaのスピンオフに向けた提案が株主に不利な条件となる可能性などを挙げている。