世界市場の銀行不安はいったん和らいだか
3月上旬に発生した銀行不安と景気の先行き懸念を嫌気して軟調となった世界株式はいったん下げ止まりの兆しをみせています。
図表1は、機関投資家が注目しているMSCI指数の「世界銀行株指数」と「世界株指数」の年初来推移を示しています。世界銀行株指数は一時下値を模索しましたが、今週初の米国市場で銀行セクターの混乱が拡大するとの懸念が和らぎ金融株が反発。政府金融当局が信用不安の拡散防止に向け追加策を講じるとの見通しが買い材料となりました。
バーFRB(米連邦準備制度理事会)副議長(銀行監督担当)は28日に開催された議会上院公聴会で、「アメリカの銀行システムは健全で強固な資本と流動性がある」と述べ、「今後も銀行システムの安全性と健全性を維持するために必要に応じてどんな規模の金融機関に対してもあらゆる手段を講じる用意がある」と証言しました。
また、金融持ち株会社ファースト・シチズンズ・バンクシェアーズが、経営破綻したSVB(シリコンバレー銀行)の大部分を買収することで合意したことも金融市場の安堵(あんど)感につながりました。
29日の米国市場ではリスクセンチメントが回復し、S&P500種指数は節目とされていた4,000ポイント台を回復し、ナスダック100指数は昨年12月の安値から20%上昇し「強気相場」入りを示唆しました。銀行不安の影響についていまだ予断を許しませんが、金融システムへの過度な不安がいったん和らいだことは、目先の世界市場にとって総じて下支え要因です。
<図表1>世界市場で銀行株が底打ちした可能性