マー氏帰国と同じタイミングでアリババ・グループが過去最大の組織改革を発表

 帰国したマー氏が最初に姿を現したのは、アリババが出資する杭州雲谷学校。同校は27日、中国の対話アプリ「微信」(WeChat)のアカウント上で、マー氏が学校の責任者らと教育の将来について語り合ったこと、訪問の目的が、技術革新が教育にもたらす課題と機会に関しての意見交換だったことを報告しました。マー氏が同校の教師や生徒と笑顔で触れ合う映像も見られました。

 翌日の28日、今度はマー氏が創業したアリババ・グループの現CEO(最高経営責任者)であるダニエル・チャン(張勇)氏が「自己変革を通じてのみ、未来を切り開くことができる:アリババ・グループの組織、ガバナンス変革に関する決定」と題した手紙を全社員向けに送り、アリババ本体を六つの事業主体に分割する旨を発表しました。六つに分割された事業は以下です。

(1)クラウド・インテリジェンス(クラウドと人工知能)事業
(2)天猫(Tモール)などの電子商取引事業
(3)物流サービスのツァイニャオ・スマート・ロジスティクス事業
(4)料理宅配などのローカルサービス事業
(5)映画や動画配信サービスなどのデジタルメディア&エンターテインメント事業
(6)アリエクスプレスなど国際イーコマースのグローバル・デジタル・コマース事業

 各部門にCEOと取締役会を設置した上で、外部資本を含めた資金調達を独自に行い、IPOを目指していくとされます。アリババ・グループは持ち株会社の経営モデルを採用し、グループ会長兼CEOは引き続きチャン氏が務めるとのこと。チャン氏はクラウド・インテリジェンス事業のCEOを兼務し、天猫(Tモール)などの電子商取引(EC)事業はアリババ本体の完全所有部門として存続させます。

 また、チャン氏は、「今日この日、我々はアリババ創業24年以来最も重要な組織変革を迎える」と断言した手紙の中で、今回の組織改革がフロント部門(営業部門)を支えるミドル部門(経営企画や広報、マーケティング、リスク管理など)とバック部門(決済事務)のスリム化につながると指摘。今回の改革の出発点と根本的な目的は、「組織を一段と機敏にし、意思決定を迅速化し、素早く対応できるようにすることだ」との意思を明らかにしています。