今日の為替ウォーキング
今日の一言
悪人とはゲームができるが、善人とはゲームはできない
Smoke On The Water
米投資銀行のベア・スターンズが破綻したのは、今からちょうど15年前の2008年3月16日。ベア・スターンズは、リーマン・ショックに連なるGFC(世界金融危機=Global Financial Crisis)の幕開けだった。シリコンバレー銀行が第2のリーマン・ショックの引き金になるおそれはいったん回避されたようだ。
この事件は、FRBの利上げの影響がはっきりと経済に表れた最初のケースだといえる。1年間で4.00%も利上げした副作用が予想外に大きいことから、利上げは休止されるだろうという予想が増えている。しかし、FRBの仕事は、ポートフォリオ運用に失敗した銀行に逃げ道を用意することではない。インフレ問題を放置したままでは状況は悪化するだけだ。
中央銀行は、経済データの強さと、金融システムの脆弱さという問題で板挟みになっている。今、中央銀行は、インフレ対策に集中するべきなのか、それとも銀行救済のために利上げを中止した方が良いのか。
マクロ的見地からすれば、中央銀行はさらに利上げする必要がある。米国の経済は過熱状態が続いている。インフレ率はFRBの目標値の3倍で高止まっているし、労働市場では今年になってからでも80万人の新規雇用が生み出されている。欧州も経済データは堅調で、インフレ率も高水準で推移している。
では金融部門の問題は無視していいのか。クレディ・スイスの経営破綻は回避されたが、いつ次の危機が発生してもおかしくはない。この状況で中央銀行が利上げを続けられるかどうか不透明だ。
しかし、ECB(欧州中央銀行)は16日の理事会で、予定通り政策金利を0.50%利上げした。たとえマーケットから一時的に不興を買ったとしても、中央銀行は幅広く経済を見渡す使命があるのだ。