「損益通算できない」の意味

 ここまでNISA・新NISA共通のデメリットとして、損切りした時に、「損益通算できない」ことを説明してきました。もっと詳しく中身を確認してみましょう。

【1】「損益通算」とは

 損益通算とは、損失と利益を相殺することです。課税口座(特定口座)で10万円の売却益と10万円の売却損を出せば、「損益通算」されます。売却益と売却損が相殺され、ネットで売買損益は出ていないので、税金はかかりません。

【2】「損益通算できない」とは

 NISAの欠点として知っておく必要があるのは「損益通算」ができないことです。課税口座(特定口座)で10万円の売却益を出し、NISAで10万円の売却損を出した時は、損益通算ができません。

 10万円の売却益に対し、分離課税を選択していると、2万315円(20.315%)の税金がかかります。NISA口座で10万円の売却損を出しても、損益通算されないので払った税金は戻ってきません。

 NISAでは、短期的に損切りが必要になる可能性のある投資(小型材料株への短期投資)はしない方が望ましいです。

 NISAは長期的な資産形成に向いている制度です。インデックスファンドなどに、じっくり長期投資するのが適していると思います。個別株に投資するならば、じっくり長期で投資できる銘柄を選んだ方が賢明でしょう。大型の高配当利回り株も良いと思います。

 もちろん、NISAで小型成長株投資をしてはならない、というわけではありません。失敗したら早めの損切りが徹底できるならば、NISAで小型成長株投資にチャレンジしても良いでしょう。株価が倍になるような成功銘柄に当たれば、売却益を出した時の節税メリットが大きくなります。

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