今日の為替ウォーキング

今日の一言

天使も踏むを恐れるところ愚か者は勇んで踏み込む

99 Red Balloons

 日銀は、日本のインフレ率を下げるのではなく、さらに高くしたいと考えている。インフレ率を安定的に上昇させるためには、賃金上昇が不可欠だが、日本の実質所得は他国以上にマイナスが続いている。給料が上がらない、上がっても物価上昇に全く追いついていないのが現実だ。この状況が近い将来改善される見込みは全くない。

 生活防衛として無駄な出費を抑え、質素な生活を心がける日本の家庭に対して、これまで企業の価格決定権は弱く、値上げができない時代が長く続いていた。

 そこで日銀は、大量緩和政策で円安を持続させることで物価高をつくり、国民の意識にインフレ期待を形成してやろうと考えた。物価上昇が続くことが当たり前だという考え(期待)を消費者のマインドに浸透させることで、企業に値上げをしやすくさせるのだ。

 その甲斐あって、2022年は主要食糧品メーカー105社が20,822品目を平均14%値上げすることに成功した。さらに2023年は4月までに7,000品目以上が値上がりし、「光熱・水道」費は、前年比約15%以上も高くなっている。「このまま永遠に上がり続けるのか?」とわれわれは不安に襲われるが、これこそまさに日銀の狙いだ。

 日銀は需要インフレを起こせない代わりに、円安を利用して輸入インフレを発生させることに成功した。日銀が安定的な物価上昇を達成するためには「サステナブルな円安」がどうしても必要なのだ。

 海外の中央銀行はインフレ期待を繋ぎ止めて物価上昇に歯止めをかけようとしている。日銀はその逆で、日本人のインフレ期待を解き放ち物価を上昇させようとしている。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成