2023年の業績を楽観、業務用需要の回復やハイエンド化がけん引へ

現地コード 銘柄名
00291

華潤ビール控股

(チャイナ・リソーシズ・ビア)

株価 情報種類

59.55HKD
(2/17現在)

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「雪花Snow」を主力とするビール最大手、華潤ビールの2022年下期決算について、BOCIは7-9月期の好調を見込みながらも、行動制限やゼロコロナ解除後の感染爆発の影響で、10-12月期の低迷が足を引っ張るとみている。2023年に関しては、外食店などの業務用需要の回復やプレミアム(高価格帯)化の持続、包装材価格の反落、新規事業の発展を受けた業績改善を予想。株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 BOCIは2022年下期に前年同期比9.7%の増収を見込み、上期の7%から加速するとみている。猛暑だった7-9月の好調から一転、10-12月には売れ行きが悪化したとみて、下期の販売量は1.3%増にとどまるとしながらも(上期は0.7%減)、高価格帯のサブプレミアム以上の製品が10%台半ばの伸びを示すと予想(上期は10%増)。プレミアム化と値上げの効果で、下期の平均販売価格が8.3%上昇したとみている。また、2022年通期に関しては、販売量の前年比0.2%増、平均販売価格の7.9%上昇を見込み、売上高は8.1%増の361億元に達すると予想し、2023年には業務用需要の回復を背景に販売量が前年比1.8%増えるとの見方。サブプレミアム以上が20%超の伸びを示すとみる。

 2022年下期には値上げ効果とプレミアム化、原材料価格(主に包装資材)の軟化を受け、粗利益率は前年同期比で0.6ポイント上昇する見込み(上期比では横ばい)。2023年に入ってからは原材料価格がさらに下落傾向を示しており、BOCIは大麦価格の上昇を十二分にカバーできるとの見方。2023 年の粗利益率について、前年比 2.4ポイントの上昇を見込む。一方、売上高販管費比率に関しては、2022年下期に前年同期比0.3ポイント上昇した後、2023年には小幅に低下するとみている。

 新規事業に目を向けると、まず主力のビール部門では「Joy Brew」ブランドのバーの展開を推進する。BOCIは販売チャネルの多様化につながるとして、バー事業を前向きに評価。長期的な販売増効果や、より深く消費者インサイトを得るという点でもメリットがあるとしている。このほか、2021年8月には白酒(パイチュウ)メーカー山東景芝白酒に資本参加。2023年1月には同じく白酒の貴州金沙窖酒酒業の株式55.19%の取得を完了した。中国ビール業界ではここ数年、新規ビジネスを模索する動きが目立つが、BOCIは中でも華潤ビールについて、先発者優位を指摘している。

 BOCIは2022年の利益予想を小幅に下方修正し、2023-24年の予想を微調整。2023年EV/EBITDA倍率22倍をベースとする目標株価を据え置いた(EV/EBITDA倍率はEV=企業価値がEBITDA=利払い・税引き・償却前利益の何倍に当たるかを表す指標)。一方、レーティング面の潜在的なリスク要因としては、市場競争の激化、プレミアム化の鈍化や値上げの難易度の上昇、商品インフレ、新型コロナ感染の再燃、買収を通じて新規参入した白酒ビジネスの統合の遅れなどの可能性を挙げている。