アナリスト評価◎の割安高配当株TOP15

※データは2023年1月31日時点。単位は配当利回りと月間騰落率、移動平均線乖離率は%、時価総額は億円。配当利回りは予想、移動平均線乖離率の基準は13週移動平均線。

※コンセンサスレーティング…アナリストによる5段階投資判断(5:強気、4:やや強気、3:中立、2:やや弱気、1:弱気)の平均スコア。数字が大きいほどアナリストの評価が高い。

※移動平均線乖離(かいり)率…株価が移動平均線(一定期間の終値の平均値を結んだグラフ)からどれだけ離れているかを表した指標。この数値がマイナスならば、移動平均線よりも現在の株価が安いということになる。

 上表は、長期投資に適した銘柄の高配当利回りランキングと位置付けられます。

 1月31日時点での高配当利回り銘柄において、一定の規模(時価総額1,000億円以上)、ファンダメンタルズ(コンセンサスレーティング3.5以上)、テクニカル(13週移動平均線からの乖離率20%以下)などを楽天証券の「スーパースクリーナー」を使ってスクリーニングしたものとなっています。配当利回りはアナリストコンセンサスを用いています。

中国経済正常化で鉄鋼や商社が上昇、日銀緩和政策維持で金融株の一部下落

 1月(昨年12月30日終値~今年1月31日終値まで)の日経平均株価(225種)は4.7%の上昇となりました。

 1月前半は円高の進行や日本銀行の金融政策決定会合を控えて伸び悩む展開でした。日銀が17~18日の決定会合で大規模な金融緩和策の現状維持を決定したことで、月中旬には買い戻しなどが優勢となって大きく値を上げました。米国の利上げ幅減速期待、中国の経済活動正常化なども後押しとなりました。

 ただ、月末にかけては、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の開催(1月31日~2月1日)を控え、節目の2万7,500円水準でもみ合う状況が続きました。

 こうした中、ランキング上位銘柄の株価も総じて買いが優勢になりました。とりわけ、日本製鉄(5401)が17%を超える大幅な上昇となりました。中国の経済活動再開に伴う鋼材需要の拡大、それに伴う市況の上昇が期待される形となりました。世界的に鉄鋼株が大きく値上がりしました。鉄鋼株高の動きは大和工業(5444)などにも波及しています。
 同様に他の資源価格にも先高期待が高まり、住友商事(8053)丸紅(8002)兼松(8020)などの総合商社株も買われました。国内金利の上昇期待やビットコイン価格の上昇を手掛かりに、SBIホールディングス(HD)(8473)も強い動きとなりました。

 半面、MS&ADホールディングス(HD)(8725)はマイナスサイドとなりました。日銀の政策修正期待で前月に大きく上昇した反動が強まったようです。

新規ランクインにMIXI、ENEOS、MS&ADの3銘柄

 今回、新規にランクインしたのは、MIXI(2121)ENEOSホールディングス(5020)、MS&ADHD(8725)の3銘柄です。

 除外されたのは、長谷工コーポレーション(1808)TOYOTIRE(5105)日本電気硝子(5214)となっています。

 新規3銘柄は、それぞれ1月の株価パフォーマンスが相対的に低かった中、上位銘柄が除外基準に抵触したことで、上位に繰り上がった形です。

 除外銘柄は3社ともアナリストの投資判断格下げの動きがみられ、コンセンサスレーティングの水準が基準値以下となりました。長谷工はモルガン・スタンレーMUFG証券が中立判断に格下げ。

 今後は潜在的な住宅ローン⾦利の上昇が意識されるなどとしているもようです。TOYOTIREはゴールドマン・サックス証券が中立判断に格下げ。タイヤ市販販売の減速と円高の進行を反映して業績予想を下方修正しました。日本電気硝子はマッコーリー証券が中立判断に格下げしたようです。

 アナリストコンセンサスと会社計画で配当予想が大きく異なっているものとしては、西松建設(1820)に注意が必要です。1月31日に業績予想を下方修正、それに伴って年間配当計画も285円から221円に引き下げています。アナリスト予想への反映が間に合っていないとみられ、実質的に配当利回りは5.45%の水準となります。

 大和工業(5444)はコンセンサス利回り5.78%に対して、会社計画では6.12%です。大幅な配当引き上げを発表しているため、コンセンサス利回りは会社計画並みにまで上昇する可能性が高いです。実際に前月と比較して配当予想は会社計画に近づいてきています。

 ほか、会社計画よりもアナリストコンセンサスがやや高いものとして、NIPPON EXPRESS(9147)双日(2768)、丸紅(8002)、MIXI(2121)などが挙げられます。

 逆に、会社計画の方が高いものとして、大和工業のほかMS&ADHD(8725)が挙げられます。日本製鉄(5401)、SBIHD(8473)は、引き続き会社側で2023年3月期の配当計画を示していません。アナリストの配当予想は、日本製鉄は167円(前期実績は160円)、SBIHDは153円(前期実績150円)程度という状況です。なお、日本製鉄の上半期配当金は90円、SBIHDは30円でした。

鉄鋼や総合商社など資源関連株が代表格に!期初の保守的な配当計画に注意

 2023年は、欧米の金融引き締め緩和、さらには利下げ期待、世界景気の減速懸念がそれぞれ強まる年となります。ただ、IMF(国際通貨基金)は1月30日に2023年の世界成長率予測を上方修正しています。中国経済の再開によって、懸念されるほど景気減速は強まらない可能性があり、それに伴って、利下げのタイミングはずれ込む公算も生じてくるでしょう。

 高利回りの代表格である海運株は、2023年度は配当水準が大きく引き下がるとみられます。一方で鉄鋼や総合商社などの資源関連株は、想定されるほどの業績悪化はなく、配当水準の切り下がりも海運セクターほどドラスティックにはならないと考えられます。こうしたセクターが今後は高配当利回りの代表格になっていくでしょう。

 ただ、注意したいのは、2023年度の業績見通しにおいて、会社側が保守的な前提を出してくることです。4~5月の決算発表では、期初の配当計画も保守的となり、見た目的に配当利回り水準が大きく低下する可能性があります(その後配当計画が引き上げられるものとみられますが)。