2022年の市場の損失はリーマンショック時のほぼ2倍
2022年の相場は、2008年のリーマンショック(世界金融危機)以降最大の弱気相場で、株式と債券の両方で最悪の下落相場を引き起こした。2022年の1月にS&P500種指数は4,800レベルの過去最高値にあったが、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げによって世界の株式・債券市場はともに暴落し、下げ相場を知らない「トレーダー」全世代に大きな衝撃を与えた。
S&P500とFFレートの推移
エブリシングバブルは崩壊し、株式市場の損失に債券市場の損失を加えると、36兆ドルという途方もない額の価値が消失した。これは金額としてはリーマンショック時のほぼ2倍の損害である。
現在、「第三次世界大戦はもうはじまっている」とトッドが述べているように、世界は戦時経済下にあり、「独裁制や全体主義においては真っ赤な嘘ほど威力をもつ(ハンナ・アーレント)」時代が到来している。
何年もかけてインフレを引き起こした(QE1から無制限のQE、レポによる救済、大量の通貨供給量の拡大)FRBは、CPI(消費者物価指数)インフレをプーチン、パンデミック、気候変動のせいにしながら、米国の労働者階級と他のグローバルな同盟国に背中を向けて自分たちのインフレ騒動を片付けることになるだろう。
いずれにせよ、「紙幣の大増刷と信用創造」の時代は終わった。
帝国のビッグサイクル
ドラッカーは、「経済至上主義は、経済的な地位、経済的な報酬、経済的な権利が、人の働く目的であるとする。これらのもののために、人は戦争をし、死んでもよいと思う。そして、ほかのことはすべて偽善であり、衒いであり、虚構のナンセンスであるとする」と述べたが、インフレに加えて、米国のエリート(戦争屋)によって地政学リスクが増大していることが2022年からの相場を難しくしている。
過去10年間、国家管理相場とでも呼ぶべき政府の大規模な金融介入が行われ、金融市場はそれぞれの経済の根底にある連関から大幅に歪められた。このような長期的な成長トレンドからの乖離(かいり)は持続不可能であろう。
実質S&P500のパフォーマンスと歴史的な金融危機
昨年からビッグテック株や半導体関連株が大きく売られたが、エヌビディアやメタプラットフォームズ、アマゾン、アルファベットの下げに対して、テスラやアップルは割高な株価水準を維持していた。しかし、テスラは昨年後半から大きく下げ、今は米国株の最後のとりでといわれるアップルが下落を開始している。
エヌビディア(日足)
アマゾン(日足)
メタプラットフォームズ(日足)
テスラ(日足)
アップル(日足)