株価は大底を打ったのか!?

 筆者のところには、「ビッグテックや半導体はもう十分に下げただろう。そろそろ買いではないのか?」という照会がよくくるが、それは今後の業績次第である。半値になったからといって、業績がついてこなければ株価は上がらない。

「現在の株式市場は長期的な買い場がまだ到来していない」と筆者は考えている。それは、バフェット指標が高すぎるからだ。10年にわたる金融介入がスーパーバブルを生み出したことを最も端的に示しているのは、金融市場と企業の収益性との乖離である。

 経済成長、ひいては企業の収益性が最終的に元に戻ることで、価格が経済の実態を反映するようになり、投資家はより大幅な下落に対して脆弱(ぜいじゃく)になる。

バフェット指標

(株式のバリュエーションが経済全体(TMC/GDP)の148%では株式は底を打たない。2000年の景気後退の間、ナスダック総合指数は71%のTMC/GDPで底を打ち、高値の142%から低下した。2009年のリーマンショックでは、株価は105%から45%のTMC/GDPで底を打った)
出所:gurufocus

 グランサムが述べているように、われわれは過去100年間で4番目のスーパーバブルの中にいるのだろう。

「先進国におけるすべての2シグマ株式バブルは、トレンドに回帰しました。 しかし、それ以前には、1929年と2000年の米国では1989年に日本で、3シグマ以上のスーパーバブルになったのはほんの一握りでした。2006年には米国で、1989年には日本でも住宅にスーパーバブルが発生しました。これらの5つのスーパーバブルはすべて、平均よりもはるかに大きくて長い痛みを伴うトレンドまでずっと修正しました。今日、米国では、過去100年間で4番目のスーパーバブルの中にいます」 

(ジェレミー・グランサム)

 2022年のような株価の下落は必然だったのかもしれないが、FRBの急激な金利引き上げによって事態はさらに悪化している。これまでにもFRBがこのような利上げを行うたびに景気後退を招いており、今回も無傷では済まされないだろう。

 過去の全ての景気後退は、大規模な金融および財政刺激策によって対処されてきた。しかし、インフレ率が過去最高に近いため、現在、それはできないのである。

世界大恐慌から今日までの米国の10年国債金利の推移

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

 1970年代初頭、米ドルは世界の外貨準備の85%を占めていた。しかし、その後15年間に、ドル建て資産の保有者を恐怖に陥れるほどの爆発的なインフレが発生し、その割合は約半分にまで激減した。この先の米ドルも無傷ではいられないだろう。

世界の外貨準備に占めるドルの割合

出所:WOLFSTREET

ザ・グレートインフレーション

出所:Wall Street Silver

ドル/円(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

ユーロ/ドル(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

ポンド/ドル(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター