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投資主体別、アセットアロケーションの方法論(下)
山崎 元
ホンネの投資教室
楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元の提供レポートです。経済やマーケット、株式投資、資産運用のノウハウと考え方など幅広い情報提供をおこなってまいります。資産運用の参考にお役立てく…

投資主体別、アセットアロケーションの方法論(下)

2011/4/15
楽天証券経済研究所客員研究員として活躍する経済評論家・山崎元による「ホンネの投資教室」。お客様の投資のヒントにお役立てください。
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前回に引き続いて、投資主体別に、適切だと思われるアセットロケーションの方法を考えてみよう。今回は、個人投資家を取り上げる。個人投資家といっても、機関投資家並みに巨額の資産を運用していたり、運用のプロ(あるいは元プロ)であったり、といったケースでは、機関投資家と同等の考え方や方法でアセットアロケーションを行えばいいが、それ以外の「一般的な」個人投資家の場合は、何らかの簡便法を用いることが現実的な選択肢になることが多いだろう。

運用好きの個人:M-V法

個人投資家の中でも、自分で株式のポートフォリオを(注:数銘柄でも立派な「ポートフォリオ」だ!)運用しているような方には、一般的な年金基金が使っているような、期待リターンと、標準偏差・相関係数で表されたリスクを使ってポートフォリオを作るような「M-V法」(平均・分散アプローチ)を使いこなすことをお勧めしたい。

数学的には、高校二年生までの内容で十分お釣りが来るし、道具としても、PCとマイクロソフト・エクセルのような表計算ソフトがあれば十分だ。データも、学術研究レベルの厳密さを求めるわけでなければ、インターネットの無料ホームページに載っているもので足りる。

M-V法を使いこなすことのメリットとしては、(1)自分のポートフォリオの筋道だった改善が可能になることと、(2)他の市場参加者、特に機関投資家の発想法や行動様式が分かるようになることの二点を強調したい。

「期待リターンとして、どんなリターンを使ってよいのか分からない」という声が聞こえてきそうだが、リスクを考えてポートフォリオを作っている以上、何らかのリスク資産になにがしかのウェイトを与えているということは、意味的に、何らかの期待リターンを仮定しているのと同じことだ。何らかのポートフォリオを持っている以上、その意味を知っているかいないかが差になるとすれば、知っている方が気持ちいいのではないか。

このレベルの個人投資家には、リスクと期待リターンを決めて最適なポートフォリオを計算する、一方向の計算だけでなく、現在持っているポートフォリオのリスクとリターンの意味を分析するためにM-V法を使いこなすことをお勧めしたい。

運用を趣味にする以上、ポートフォリオの扱い方を知らなければつまらないだろうが、M-V法の理解はそのための最低条件だ。余計なお世話かも知れないが、ぜひお勧めしたい。

運用が仕事でも趣味でもない一般個人:二段階法

運用に時間を掛け、気を取られることなく、あまり手間を掛けずに安心して運用したい、という一般投資家には、【第一段階】自分が取ることができるリスクの上限を決めて、その範囲の中で「リスク資産」の額を決めて、【第二段階】リスク資産の組合せについてはベストに近い無難なものを一つ知っておいてこれに投資する、といった二段階のアセットアロケーション法をお勧めしたい。

この方法だと、期待リターンとリスクのM-V法から見て最適な組合せを達成することを放棄することになるが、過大なリスクを取らないのでお金の運用が生活設計上無難になることと、実施が極めて簡単であることの二つのメリットがある。

第二段階でのリスク資産の組合せは、たとえば、「国内株(TOPIX)が50%と先進外国株(MSCI-KOKUSAI)が50%」といったパターンを一つ知っておくなら、実際上問題はない。もともと厳密にベストであることを放棄しているので、「ベストに近くて無難な」組合せであればいいという割り切りを行う。新しい運用商品の登場などは、ほとんど気にする必要がない。

問題があるとすれば、メリットと裏腹の関係になるが、簡単すぎて退屈だということだろうか。

もっとも、こうした方法を採るとしても、リスク資産の期待リターンはいくらか(要は、リスクプレミアムはいくらなのか)といった問題や、複数のリスク資産のより良い組合せ方はないかといった追求など、工夫の対象になる課題は残されている。

人的資本に余裕のある個人:「リスク資産セット」への自由配分

上記の(2)のような一般投資家の中で、健康でよく稼ぐ若いサラリーマンによくあるように、人的資本が潤沢で、相対的に運用資産の額が小さい場合には、手持ちの金融資産の中でいくら投資しても現実的に問題はないので、(2)の【第二段階】で採用するような「リスク資産セット」に好きなだけ投資して問題ない。

若くて健康なサラリーマンが典型的だが、資産や家族があって、年金の範囲で十分暮らせることが確実な高齢者のような、経済的な「逃げ切り」が見えている羨ましい人の場合にも、同様のことが言える場合がある。

このような人の場合、20歳だから100-20→80%とか、30歳だから100-30→70%とかいった具合に、金融資産の額に対して何%の比率でリスク資産を持つと決める通俗的方法には、さして意味のないことが容易に理解できよう。

この方法で注意すべきは、借金をして投資やレバレッジを掛けた投資を行わないこと、短期間で換金できる対象に投資すること、お金の必要が生じた時には買値からの損得に拘らずに速やかにリスク資産を売る覚悟を持つことの三点だ。

リスクに対して極度に保守的な個人:「捨てたつもりで」法

取ることができるリスクには十分余裕があっても、それでも損をする可能性があることはどうしても嫌だ、という個人もいる。

リスクに見当をつけて、許容できるリスクの範囲内で運用する(2)のような方法では、たとえば、「最悪100万円まで損ができる」という覚悟があれば、リスク資産のリスクを勘案して250万円とか、300万円といった金額の投資でリターンを狙うことができるというメリットがあるのだが、この点に魅力を感じない個人には、説得力のある意見となりにくい。

こういう人には、「全額失っても惜しくないと思える金額だけ投資して下さい」と言うしかない。これは、最も原始的なアセットアロケーションだが、最悪の場合でも備えができている、という点で、最低限の条件を満たす方法だといえる。

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