2022年7-9月期の業績悪化もリスク・リワードが改善、EV事業の潜在力に期待

現地コード 銘柄名
01810

小米集団

(シャオミ)

株価 情報種類

9.80HKD
(11/24現在)

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 スマートフォンの世界大手、小米集団の2022年7-9月期決算は、売上高が前年同期比10%減、調整後利益が59%減と予想通りのさえない結果となった。中国経済の減速やスマホ販売の不振、EV(電気自動車)事業への多額の研究開発投資が響いた。スマホ市場低調だが、BOCIは在庫レベルの改善やクアルコムの新たな旗艦SoC(システム・オン・チップ)を搭載した新機種「Mi-13」の投入予定、中国国内での白物家電の販売好調など、複数の好材料を指摘。2023年予想PER(株価収益率)25倍をあてはめ(EV向け支出を除くと19倍に相当)、目標株価を引き上げた。リスク・リワード比率の改善を理由に、株価の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げている。

 7-9月期の売上高は前年同期比10%減の700億元。調整後純利益は59%減の21億元と、ほぼ市場予想およびBOCIの予想通りだった。粗利益率は前四半期並みの16.6%。営業利益率はマーケティング費の抑制で、前四半期を0.2ポイント上回る2.1%。在庫は同8%減の530億元と、経営陣の在庫管理策通りの数字となった。

 事業部門別に見ると、主力のスマホは海外での在庫処分の影響で平均販売価格が前四半期を2%下回ったが、中国国内でのハイエンド機種の販売増が寄与し、粗利益率は8.9%へ0.2ポイント上向いた。BOCIは在庫処理の進展とハイエンド機種の投入、為替相場の安定化で、続く10-12月期には粗利益率が9%を上回るとの見方。また、クアルコムの次世代型「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載した新機種「Mi-13」によるスマホ市場へのインパクトに対して期待感を示している。

 ほかに、IoT(モノのインターネット)家電部門の売上高は7-9月に前年同期比9%減の191億元。海外需要の萎縮を国内市場の好調がカバーした。国内の大型スマート家電の売上高は、コロナ禍にあっても同70%増を記録している。また、インターネットサービス部門の売上高は前年同期比4%減で、前四半期比では横ばい。フィンテックと広告収入の低迷が響いた。ただ、海外事業の収益化は進展し、7-9月には海外の売り上げ構成比が過去最高の24.2%に達した。

 一方、EV事業については、決算発表時のカンファレンスコールで情報のアップデートはなかった。ただ、BOCIは同じくスマホベンダーが参加するEVとして、ファーウェイと組んだEV、「AITO」の急成長に言及。BOCIはスマート機能を備え、かつ適正価格のEVについて、顧客基盤の点から小米集団に大きな潜在力があると指摘。2023年には投資家が、EVビジネスの潜在価値に目を向けるようになるとみている。

 BOCIは収益見通しをほぼ据え置き、2023年予想PER25倍をベースに目標株価を引き上げた。レーティング面の潜在リスクとしては、競争激化やコロナ感染の影響、地政学リスクの高まり、インド当局との課税絡みの対立、為替リスクを挙げている。