年金運用で為替ヘッジしない理由

 年金基金は、年金受益者の将来の「購買力」を維持する目的で運用されています。インフレが進むと、同じ金額の円資産を持っていても、購買力が低下するので、インフレ対策が必要です。

 日本では、これまでのところ、国内にインフレ要因はあまりありませんが、海外からの輸入インフレが大きく影響します。円安が進むと、輸入インフレが加速するので、その対策として外貨に為替ヘッジしないで投資します。

 円安が進むと、輸入インフレが進みますが、投資している外貨資産に為替差益が発生するので輸入インフレをカバーします。円高が進むと、投資している外貨資産に為替差損が発生しますが、輸入品の価格が低下する分、購買力が上昇するので問題ないと判断します。

 後半は難解になりましたが、初心者の方は、以下二つの結論だけ覚えてください。

  1. 為替ヘッジすると、ヘッジコストによって海外の高金利のメリットはほとんど無くなる。
  2. 年金基金の外貨投資は、原則として、為替はヘッジしない。