為替ヘッジすると、高利回りメリットはヘッジコストでほとんど消滅
為替ヘッジ【注】しながら、外債に投資するべきでしょうか? 最初に結論をお話しします。年金基金では原則、為替ヘッジはしません。個人投資家も、短期投資ならば話は別ですが、長期の資産形成では、原則為替ヘッジはしないで投資するのが良いと思います。
ここから先の解説はやや難解です。詳しい解説まで必要ない方は、結論だけ覚えてください。
【注】為替ヘッジ
外貨に投資するとき、為替が円高になると差損が発生しますが、あらかじめ為替予約をすることで、為替が円高になっても損失が発生しないようにすることを、「為替ヘッジ」と言います。例えば、円をドルにかえて1年間ドルで運用して、1年後に円に戻すとします。その間、円高(ドル安)が進むと、為替差損が発生します。円をドルにかえると同時に、1年後にドルを円に戻す為替予約をしておけば、円高になっても損失が発生しません(円安になっても為替差益は得られません)。
ここからの説明は、利回り3.8%の10年米国債だけを対象として説明します。利回り3.8%の米国債に投資して、為替ヘッジすれば円高(ドル安)が進んでも、為替差損が発生しません。「高い利回りを享受して、かつ、円高リスクがないなんて、すばらしい」と思うかもしれません。でも、注意が必要です。為替ヘッジにはコストがかかります。
内外金利差がコストとなります。ざっくりした計算で説明すると、年率4%くらいのコストがかかります(現在の短期金利差が1年間続くと仮定して、3カ月ものの為替予約をロールオーバーしながら1年間為替ヘッジする場合)。
3.8%の利回りを得ても、4%の為替予約コストを支払うと、実質期待リターンはゼロ%ということです。つまり、利回りがゼロ%近辺の日本の国債に投資するのと同じということです。
ご参考までに、ドル/円為替レートのフォワードレートを以下にお示しします(詳しい解説は割愛します)。
ドル/円為替の、フォワードレート(1ドル当たりの円換算額):2022年11月22日11時