3 シンフォニアテクノロジー(6507・東証プライム)

 クラッチ・ブレーキやアクチュエーター、モータなどを手掛けるモーション機器事業、半導体向けクリーン搬送機器などを手掛けるパワーエレクトロニクス機器事業が中心となっています。

 半導体関連分野では、米アプライドマテリアルズから優秀サプライヤー賞を受賞実績があります。そのほか、航空機用や宇宙ロケット用電装品、再生可能エネルギー分野など幅広い領域で事業展開を行っています。

 2022年9月中間決算の営業利益は37.1億円で前年同期の約2.3倍となっています。半導体製造装置向けクリーン搬送機器の需要が好調で、パワーエレクトロニクス機器事業が大幅な増益となり全体をけん引しました。

 モーション機器事業も2ケタ増収増益と好調推移になっています。2023年3月期通期の営業利益予想を従来の80億円から95億円に引き上げ、前期比では26.4%増に上方修正しました。半導体製造装置向けの需要好調、為替の円安効果などが上振れの要因となるようです。年間配当金も従来計画の50円から60円に引き上げています。

 幅広い物色テーマを持っていることが妙味と考えます。搬送機器が好調な半導体関連であるほか、自動車電動化の研究開発に必要となる自動車用試験装置なども手掛けます。また、コロナ禍からの回復が期待される航空機分野では、国内唯一の航空機用電源システムメーカーとも位置付けられています。

 宇宙ロケット姿勢制御用サーボアクチュエーター、宇宙ステーション用実験装置なども扱っています。さらに、水力発電やスマートグリッドなど再生可能エネルギー分野でも実績があります。

4 東陽テクニカ(8151・東証プライム)

 計測機器の輸入商社でソリューションとして提供しています。世界150社以上の企業とパートナーを組んで、オリジナル製品の開発なども行っています。事業セグメントは、情報通信/情報セキュリティ、機械制御/振動騒音、物性/エネルギー、EMC/大型アンテナに分かれています。

 EMC測定ソフトウエアでは日本市場トップシェアを誇り、AI技術を計測分野で応用するなど新規事業の立ち上げにも取り組んでいます。

 2022年9月期営業利益は23.3億円で前期比35.2%増となりました。電子部品不足の影響も一部セグメントでは出ましたが、カーボンニュートラル分野が好調な物性/エネルギー事業がけん引役となり、自動運転開発向けの大型受注獲得で機械制御/振動騒音なども好調でした。

 配当金は7円増配の50円としています。一方、2023年9月期の業績予想では営業利益は26億円で11.5%増の見通しです。年間配当金は2円増配の52円を計画しています。中期経営計画では、2024年9月期の営業利益は35億円を計画しています。

 8月には発行済み株式数の8.44%に当たる200万株を上限とした自己株式の取得実施を発表しています。10月末現在では43.3万株の自己株式を取得、着実な取得実績に加え、今後の取得余地の大きさなどもポジティブに捉えられます。

 輸入商社であって円安が懸念されますが、足元では為替変動と利益率に強い連動性は感じられません。むしろ、5G(第5世代移動通信システム)、EV(電気自動車)、自動運転などの本格普及を今後迎えることは、同社など計測機器メーカーにとって、研究開発用の需要拡大につながる上で期待感が高い状況になります。

5 日本マイクロニクス(6871・東証プライム)

 シリコンウエハ検査工程において、電気的検査で用いられる器具となるブローブカードが主力です。世界的に第3位の位置づけとなり、得意とするメモリ向けではトップになっています。ほか、半導体最終検査工程用テストソケット、電気的検査判定用の半導体テスタなども扱っています。

 韓国での新工場建設、青森工場内における新棟建設など、事業拡大に向けた投資を足元で積極化させています。

 2022年1-9月期の営業利益は63億円で前年同期比1.1%の減益となりました。主力のブローブカード事業は底堅い推移となりましたが、FPD(薄型映像表示装置)市場の需要減速の影響を一部製品が受けたようです。通期の業績予想では、営業利益は94億円で前期比14.0%増の見通しです。

 上半期決算時に公表された104億円からは下方修正の形ですが、2ケタ増益は確保する計画となっています。メモリ半導体の生産調整の影響を織り込んだようです。なお、年間配当金は10円減配の55円を予想、特別利益の一巡で最終減益になることを反映したようです。

 他の半導体関連銘柄同様に、年初来の株価は低調なパフォーマンスとなっています。2023年度の収益成長鈍化はだいぶ織り込まれている印象があります。

 また、他の半導体関連株はバリュエーションの割高感が株価調整の一因にもなっているため、PER(株価収益率)や利回り水準からバリュー株的な要素も強い同社の株価下落は、やや過剰反応とも受け止められます。来年度後半からは半導体メモリDRAM設備投資への回復期待もあり、2023年12月期増益継続を予想するアナリストもいるようです。