コロナワクチン販売減で7-9月は小幅増収、新製品や適応症拡大が成長けん引へ

現地コード 銘柄名
02196

上海復星医薬集団

(シャンハイ・フォサン・ファーマスーティカル)

株価 情報種類

19.82HKD
(11/1現在)

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 民営コングロマリット復星国際(00656)の傘下の製薬会社、上海復星医薬の2022年7-9月期の売上高は、前年同期比1.72%増の102億7,000万元だった。新型コロナワクチン「コミナティ」(日本で言うファイザー製ワクチン)の販売減が重しとなり、ほぼ横ばいにとどまったものの調整後純利益は10.2%の伸びを示した。BOCIは主な支援材料として、◇PD-1阻害剤「Han Si Zhuang(漢斯状)」とCAR-T細胞療法製品「Yi Kai Da(奕凱達)」の適応症の拡大、◇ファイザー・ビオンテック製の二価ワクチンが近く香港・マカオで承認される見通し――を指摘。原材料高を反映させる形で、2022-24年の予想粗利益率を2.0-3.4%下方修正する半面、経費管理の効果を見込み、販売費対売上高比率に関する予想値を1.7-2.0%引き下げた。12カ月目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 22年1-9月期の売上高は前年同期比16.87%増の316億1,000万元に達したが、7-9月に限ると1.72%の小幅増。コロナ禍での原材料費と人件費の高騰で、1-9月の粗利益率は46.5%(前年同期49.6%)に後退したが、販売費の抑制で全面的にカバー。EBIT(利払い・税引き前利益)マージンは前年同期の7.5%から8.2%に改善した。保有するビオンテック株の評価損が約11億元に達したことで、1-9月の純利益は31.15%減の24億5,400万元にとどまったが、特別損益を除くと15.5%増の28億5,900万元となる。

 この先、主な支援材料となるのは、まずPD-1阻害剤「Han Si Zhuang」とCAR-T細胞療法製品「Yi Kai Da」の適応症の拡大。前者は扁平上皮非小細胞肺癌(sqNSCLC)、 進展型小細胞肺癌(ES-SCLC)、食道扁平上皮癌(ESCC)を適応症に追加することで、すでに国家食品薬品監督管理局(NMPA)の認可を取得した。「Yi Kai Da」のほうは適応を大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の2次療法に広げる。このほか、◇ファイザー・ビオンテック製の二価ワクチン(オミクロンBA.4とBA.5対応)が近々、香港・マカオで承認される見込み、◇米レバンス社からライセンスイン(特許権やノウハウなどの導入)した長時間作用型神経調節剤のダキシボツリヌムトキシンA製品「RT002」をめぐり、眉間のシワ治療を適応症とする中国国内の新薬承認申請を近く行う方針――も支援材料。経営陣は2024年初頭にも発売する予定を示している。

 BOCIはサムオブザパーツ方式に基づき目標株価を引き下げた。ディスカウントキャッシュフローのベースとなる主力事業の評価額を35HKドルから32.1HKドルに下方修正し、加重平均資本コストを10.3%から10.6%に引き上げている。レーティング面の潜在リスク要因としては、中国当局が量的調達プログラム(VBP)にバイオシミラー(バイオ後続品)を組み込む可能性や、新製品販売が予想を下回る可能性、さらに主要製品候補の治験の失敗、経営陣の入れ替え、金融投資の損失計上などの可能性を挙げている。