2022年7-9月利益は前期比で15%減、減損損失と販促強化が影響

現地コード 銘柄名
02238

広州汽車集団

(グァンジョウ・オートモービル)

株価 情報種類

5.52HKD
(10/28現在)

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 広州市政府傘下の自動車メーカー、広州汽車集団の2022年7-9月期の売上高は前年同期比51.3%増、前四半期比24.6%増の317億元と、ほぼBOCIの予想通りの数字だった。半面、純利益は前年同期比144%増、前四半期比15.7%減の23億元と、予想(28億-30億元)を下回った。自社ブランドの「伝棋」(Trumpchi)と研究開発センターに絡む予想外の減損損失6億5,500万元を計上したことで、営業損失が前四半期の15億元から20億元に拡大。また、主力合弁ブランドの販売増とは裏腹に、投資収益が前四半期比11.7%減の38億元にとどまったことも響いた。BOCIは減損損失の増大を反映させる形で、2022-24年の予想純利益を減額修正。目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 7-9月期の増収率は前年同期比51.3%と、自主ブランド車の「伝棋」と「Aion」(EVブランド)の販売台数伸び率(前年同期比67.0%増)を下回るペース。スケールメリットの拡大で稼働率は改善したものの、相対的に利幅が低い「Aion」のウエートの拡大やプロモーション強化による費用増が影響したとみられ、粗利益率も4-6月の6.6%から6.4%に低下した。

 投資収益は前年同期比で倍増以上の伸びとなったが、これは半導体不足による前年同期実績の低さが主因であり、前四半期比では11.7%減。主要合弁ブランドの7-9月期の販売台数の伸び(広汽ホンダ、広汽トヨタは前四半期比48.6%増、4.5%増、広汽三菱は203%増)と逆行する投資収益の下押しについて、BOCIはプロモーション活動の強化が響いたとみる。例えば広汽トヨタでは、一部車種が「車両取得税の減税措置」(販売価格30万元以下かつ2,000cc以下が対象)から外れたため、価格競争力を維持するためにプロモーションを強化したという。外資系合弁ブランドのうち、4-6月に生産を終了した広汽FC(フィアットクライスラー)は投資の簿価がゼロとなっており、BOCIは7-9月以降、決算への影響はないとの見方。半面、赤字が続く広汽三菱に関しては、10-12月期か2023年に減損損失計上の可能性があるとしている。

 1-9月期は増益率が前年同期比50%超。広汽トヨタの好調を背景に、従来型メーカーの中では際立った高成長を達成した。ただ、BOCIは10-12月期の減損損失の計上見通しや、厳しい競争環境の下、日系合弁メーカーの新エネルギー車へのシフトが遅れていることなどが影響すると予想。減損損失に関する想定値を引き上げ、2022-24年の利益見通しを2-18%減額修正した(新たな予想値は90億元、84億元、82億元)。現在株価は2022年、2023年の予想PER(株価収益率)で5.9倍、6.3倍と、ヒストリカル平均の8.4倍を下回る水準。2023年予想PER8倍(8.5倍から引き下げ)をあてはめ、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。