外国人投資家の影響が大きい日経平均

 日経平均株価は、「外国人投資家が買えば上がり、売れば下がる」というように、外国人投資家の影響が大きいといわれています。特に、先物市場での外国人投資家の動向は、日経平均の短期的な動きに大きく関係しているので、私も着目しています。

 では、どの指標をみているのかというと、日本取引所グループが公表しているデータにおいて、「投資部門別 株式売買状況」ではなく、「取引参加者別建玉残高一覧」のほうをみています。「取引参加者別建玉残高一覧」は、どの証券会社がどのくらいの建玉を残高として保有しているかを表しているものです。

「投資部門別 株式売買状況」は、前週末時点の状況が毎週第4営業日(通常は木曜日)にならないと公表されませんが、「取引参加者別建玉残高一覧」は毎週第1営業日(通常は月曜日)に公表されるので、タイムラグの観点からも「取引参加者別建玉残高一覧」のほうをみています。

「取引参加者別建玉残高一覧」においては、国内証券、外国証券ともに表示されていますが、そのうち、外国証券だけを取り出して、建玉残高の合計がどうなっているかに着目しています。では、さっそく日経225先物について、その残高合計と日経平均の推移をみていきましょう。

(グラフ1)外国証券の日経225先物建玉残高(買い-売り)と日経平均の推移(2021年1月8日~2022年10月21日)

*赤枠は、日経平均が直近の安値から1割以上上昇し、外国証券の日経225先物建玉残高(買い-売り)が直近で大きく増加しているとき
*青枠は、日経平均が直近の高値から1割以上下落し、外国証券の日経225先物建玉残高(買い-売り)が直近で大きく減少しているとき
出所:日本取引所グループ公表データよりマネーブレインが作成

 このグラフをみると、おおむね外国証券の日経225先物建玉残高(買い-売り)が増えると日経平均は上昇していて、減ると日経平均は下落していることが分かります。

 ここで、注目したいのが、赤枠、青枠で示した局面です。

 赤枠は、日経平均が直近の安値から1割以上上昇し、外国証券の日経225先物建玉残高(買い-売り)が直近で大きく増加しているときです。買い残高が増えているということは、のちに売り圧力に変わってくることが想定されるので、このようなときには日経平均の下落圧力が強まっているという見方をしています。

 逆に青枠の日経平均が直近の高値から1割以上下落し、外国証券の日経225先物建玉残高(買い-売り)が直近で大きく減少しているときには、日経平均の上昇圧力が強まっているという見方をしています。

「この赤枠、青枠のタイミングで売買すれば利益が出るのでは」と思われる方もいるかもしれませんが、この見方は圧力が強まっているか否かをみているもので、必ずこのタイミングで反転するというわけではなく、圧力がさらに強まる形で上昇や下落が進行していくことも当然あり得ます。

 このため、この外国証券の日経225先物建玉残高動向だけで売買タイミングを判断していくことはおすすめしませんが、自ら保有しているポジションの根拠を補完し、安心感を持つためにも、チェックしていく価値は十分にあると考えています。

 例えば、日経平均が上がればプラスになるポジションを持っていた場合に、日経平均が下がっていても、外国証券の日経225先物建玉残高(買い-売り)が大きく減っていれば、いずれ日経平均は上がってくるだろうと思えるでしょう。

 逆に、日経平均が下がればプラスになるポジションを持っていた場合に、日経平均が上がっていても、外国証券の日経225先物建玉残高(買い-売り)が大きく増えていれば、いずれ日経平均は下がってくるだろうと思えるでしょう。

 私自身、投資における最大の敵は、自らの一喜一憂の心理だと考えています。一喜一憂しないためにも、自らが持っているポジションに対する根拠をしっかりと持っておく必要があると考えています。この外国証券の日経225先物建玉残高動向が活用できるようであれば、ぜひチェックしてみてください。

 投資はあくまでも自己責任で。